公庫の創業融資の審査のポイントや審査落ちした場合の対処法を解説
「公庫の創業融資の審査に落ちてしまったが原因がわからない」
「審査に落ちてしまったけど、また融資のチャレンジをしたい」
日本政策金融公庫の融資の審査は甘くないため、残念ながら落ちてしまった方もいらっしゃると思います。
当記事では、公庫の創業融資の審査ポイントや審査落ちしてしまった原因、再チャレンジするための対処法を解説します。
日本政策金融公庫の審査のポイント(創業融資向け)
日本政策金融公庫は民間金融機関と比較して、信用力が高くない人でも積極的に融資をしてくれることがあります。
しかしながら、審査が甘いわけでは無いので、審査のポイントをしっかりと押さえるべきだと考えられます。
日本政策金融公庫の創業融資において、主な審査のポイントは以下となります。
日本政策金融公庫の融資審査ポイント
- 自己資金
- 事業者のこれまでの経験や能力
- 事業者の信用情報
- 事業計画の妥当性・実行性
- 面談
自己資金
日本政策金融公庫の新創業融資制度の概要によれば、原則、創業資金の10分の1以上の自己資金が申請の要件となっております。
自己資金は多額にあればあるほど、審査に有利となるのが一般的ですが、重要なのは自己資金をどのように調達したか?という点です。
融資の申し込み時に銀行口座に資金を一時的に入れておき、融資審査後に元にあったところへ返すなど、いわゆる”見せ金”は自己資金として認められません。
日本政策金融公庫の審査では、直近6カ月分の通帳のコピーをチェックされ、自己資金の調達方法も面談等で聞かれるので注意が必要です。
事業のために毎月コツコツと貯めてきた自己資金などは、その計画性も含めて審査にプラスの影響を与えるので、可能な限り自力で用意するようにしましょう。
なお、自己資金に該当するもの/しないものなどの細かい分類は以下の記事をご参照ください。
事業者のこれまでの経験や能力
日本政策金融公庫の融資を返済できる能力を事業者が有するか否かを判断するポイントの一つが、これまでの経験や能力となります。
特に、創業融資の場合は事業者の実績がまだあまり無い状態のため、これまでに企業勤めで経験した業務に関連して独立する場合は審査が有利になる傾向にあります。
融資申請時点で5年以上の同業界の経験がある場合、さらに高評価される可能性があります。
一方で、全く経験が無い分野で事業を始める場合は審査が厳しくなります。
現時点で経験や能力が足りないと感じる場合は、同業界の仕事(アルバイト可)を半年~1年ほど経験してから独立するというのも一つの方法です。
事業者の信用情報
信用情報とはローンやクレジットカードの契約や申し込みに関する情報のことで、過去に借金の返済や公共料金の支払いが遅れたことがある場合は要注意です。
日本政策金融公庫の融資審査では事業者個人の信用情報を必ずチェックします。
チェックされる信用情報の例
- 税金の支払い(所得税、住民税、法人税、事業税等)
- 公共料金(電気、水道、ガス代等)
- クレジットカード(滞納履歴)
- その他奨学金やキャッシングなどの借入
融資申請をする場合、信用情報に関するウソは後の調査で発覚してしまうため、誠実に対応しましょう。
自分の信用情報に不安がある場合は、以下の機関で手数料を支払えば、情報を取得できます。
事業計画の妥当性・実行性
日本政策金融公庫の審査で重要なポイントの一つが事業計画の妥当性と実効性です。
特に創業融資などの場合は実績がまだ無い状態が多いので、事業計画書(創業計画書)の内容や実行性が厳しく審査されるので、入念に準備しておきましょう。
事業の性質や戦略の背景などを、明瞭でわかりやすく言語化し、日本政策金融公庫の担当者に理解してもらうことが重要となります。
事業計画書(創業計画書)の記載リスト
- 創業の動機
- 経営者の略歴等
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引先関係
- 従業員
- お借入れの状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
具体的な創業計画書の書き方は以下の記事で解説しておりますので、ご参照ください。
面談
日本政策金融公庫の融資審査では、担当者による面談が行われます。
面談内容は事業計画書(創業計画書)の内容に沿って、資料のみでは把握できない情報を中心に質問されることが多い印象です。
面談において重要なポイントは、質問されたことに対して自分の言葉でしっかりと回答することです。
例えば、事業計画書(創業計画書)の作成をコンサルタントに外注しており、計画の中身をあまり理解していない事業者は、容易に面談で見抜かれてしまいます。
難しい専門用語などはなるべく使わずに、事業計画書(創業計画書)の内容を丁寧に説明できるようにしておきましょう。
具体的な面談での質問項目は以下の記事でも解説しております。
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合の対処法
日本政策金融公庫の審査に一度落ちてしまった場合は、以下の対処法を検討してみましょう。
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合の対処法
- 審査に落ちた原因を分析して、可能な限り改善する
- 半年以上の期間をおいてから融資の再申し込みをする
- 融資コンサルタントなどの専門家利用を検討する
- 保証協会の保証付き融資(民間金融機関)や制度融資(自治体)を検討する
審査に落ちた原因を分析して、可能な限り改善する
日本政策金融公庫の融資審査に落ちた場合は、原因分析が重要となります。
原因分析と改善例
- 自己資金が少ない➡次の融資申請までに自己資金をコツコツと貯める
- 経験やノウハウが足りない➡創業予定の業界で一定期間働いてみる、資格を取得する
- 事業計画の実現性が低い➡短期的な目標や事業規模を変更して、戦略を練り直す
日本政策金融公庫の面談で担当者に質問で深掘りされた内容やこちらの回答に対してリアクションが悪かった点があれば、要注意ポイントです。
半年以上の期間をおいてから融資の再申し込みをする
日本政策金融公庫の融資は前回の申し込みから半年以上の期間を空けないと再申し込みが難しいです。
半年経ったからといっても、以前の審査に落ちた原因が改善されていない場合は再度落ちてしまいます。
審査に落ちた原因の改善状況にあわせて、再申し込みの時期を慎重に決定しましょう。
融資コンサルタントなどの専門家利用を検討する
融資支援を行っている専門家に相談をして、サポートをしてもらうことも一つの方法です。
事前に専門家に相談することで事業計画書(創業計画書)の添削や融資面談の事前対策を行うことが出来ることが多いです。
幣事務所でも創業融資のサポートを積極的に推進しておりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にお問合せください。
保証協会の保証付き融資(民間金融機関)や制度融資(自治体)を検討する
しっかりと準備をしたにもかかわらず、日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合は、民間金融機関や自治体などの融資制度も検討してみましょう。
例えば、信用保証協会の保証付き融資であれば、金融機関側のリスクが低減されるため、審査が通りやすい可能性もあります。
なお、保証付き融資は、金融機関の審査とは別に信用保証協会の融資審査もあるため、融資実行までの期間が日本政策金融公庫の融資より長い傾向にあるため、注意しましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の融資は、信用力の高くない創業間もない事業者や創業予定の事業者にとって、強い味方であることは間違いありません。
しっかりと対策をして、初回で融資を受けられるようにすることが重要ですが、一度審査に落ちてしまった場合でも、一定期間を置いて再チャレンジの末、融資が受けられたケースもございます。
当記事が融資を検討されている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
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