創業融資はいくら借りられる?自己資金の目安と通過率を上げるコツ

公庫の創業融資 借入額の目安と審査通過のコツ 新規開業・スタートアップ支援資金のリアル

これから起業する方や、創業直後で資金調達を考えている方にとって、

「自分は一体いくら借りられるのか」

「自己資金はどのくらい用意すべきか」

については最も気になるポイントではないでしょうか。

創業融資のなかでも特に利用される、日本政策金融公庫の制度をベースに、借入可能額の目安から、審査通過率を上げるコツまでを税理士が解説します。

目次

公庫の創業融資 新規開業・スタートアップ支援資金の概要

2024年4月、日本政策金融公庫は従来の「新創業融資制度」を廃止し、新たな創業融資の主力となる「新規開業・スタートアップ支援資金」において画期的な制度改定を行いました。

かつて必須とされていた創業資金総額の10分の1以上の自己資金という申し込み要件は撤廃されました。この改定により、自己資金がゼロでも融資の申し込み自体が可能となりました。

要件はなくなりましたが、公庫の審査基準(評価項目)から自己資金が消えたわけではなく、 依然として最重要の評価項目として位置づけられています。

自己資金があることで、これまでの努力や計画性が目に見える実績として評価され、経営者としての管理能力の高さをアピールできます。

また、この事業に本気なんだという覚悟が伝わり、結果として借り入れに対する返済能力(信頼度)が高いと判断されるため、融資審査の重要なポイントとなります。

創業融資で借りられる金額の目安

実際にいくら借りられるかは、すべて審査次第で決まります。そのため、公庫からの借入を考えている方は、希望通りの満額を借りられない可能性もあるというリスクを念頭に置いて、余裕を持った資金計画を立てていきましょう。

1. 平均的な借入額の目安

制度上の融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっていますが、これはあくまで理論上の上限になります。

区分金額の目安審査における位置づけ・特徴
初回の現実的な目安300万円 〜 1,000万円無担保・無保証での融資は1,000万円が実質的な上限の壁となります。
1社あたりの平均実績500万円前後公庫の実際の創業融資実績から算出された、最も標準的な借入額です。
開業実態調査の平均700万円 〜 800万円台内装工事や機械の購入など、設備投資が必要な業種も含めた全体の平均値です。

2. 自己資金の金額をベースに考える借入額の目安

申し込み要件が撤廃されたとはいえ、審査の現場では今もなお自己資金の金額が借入額を決定する目安の1つとなっているでしょう。

借入額の目安:自己資金の2倍 〜 3倍

これが最も堅実な計算式です。例えば、自分でコツコツ貯めたお金(自己資金)が300万円ある場合、公庫から借りられる目安は600万円〜900万円(総創業予算が900〜1,200万円)となります。

自己資金の割合:総予算の1/4 〜 1/3

実データでも、開業資金の総額に対して自己資金が2割〜3割強、残りの7割近くを公庫などの融資でカバーしているケースが標準的です。

自己資金に含まれるもの、含まれないもの

基本的には、預金通帳やネットバンクの明細が確認でき、今までの仕事等の給料等から着実に貯めてきた預貯金が自己資金として認められます。

自己資金として認められる可能性が高いもの

  • 現金預金(ご自身で着実に貯めたもの)
  • 退職金(ご自身のもの)
  • みなし自己資金(既に創業している場合の開業にかかった費用等)
  • 第三者割当増資(株式会社特有)
  • 資産を売却したお金

自己資金として認められる可能性が低いもの

  • タンス預金
  • 株や投資信託などの金融商品
  • 知り合いや別の金融機関等からの借入金

知り合いや別の金融機関、消費者金融などから一時的にお金を借りて、預金残高を増やしたとしても、「見せ金」として追及されてしまうため、自己資金として認められることは難しいと考えましょう

通過率を上げる5つのポイント

創業融資の審査通過率を上げるためには、日本政策金融公庫の担当者に「この人なら貸したお金を確実に完済できる」いう客観的な根拠を示すことにあります。ポイントは以下の5つです。

1. 自己資金の準備と貯蓄の過程
2. 具体的で現実的な事業計画書
3. 事業者のこれまでの経験や能力
4. マイナス評価のない個人信用情報
5. 万全な面談対策

1. 自己資金の準備と貯蓄の過程

自己資金の額だけでなくどうやって貯めたかが見られます。毎月の給与から一定額が積み上がっている入出金の記録は、「将来の起業に向けて、計画的に準備ができる人物だ」という経営者としての大きな信用に直結するでしょう。

2.具体的で現実的な事業計画書

創業融資では過去の実績がないため、評価の大部分を「事業計画書(創業計画書)」が占めます。事業の性質や戦略の背景などを、明瞭でわかりやすく言語化し、日本政策金融公庫の担当者に理解してもらうことが重要となります。

3. 事業者のこれまでの経験や能力

これから始める事業の分野で、どのくらいの期間、どのような実績を積んできたかが重視されます。一般的には「同業種で5年以上」があると、融資のハードルはぐっと下がります。未経験の分野での独立は、融資の難易度が非常に高くなる可能性があります。

4. マイナス評価のない個人信用情報

融資審査では、個人の信用情報機関(CICなど)が必ず照会されます。

チェックされる信用情報の例

税金の支払い(所得税、住民税、法人税、事業税等)

公共料金(電気、水道、ガス代等)

クレジットカード(滞納履歴)

その他奨学金やキャッシングなどの借入

これらにマイナス評価があると、どれだけ事業計画が素晴らしくても、審査に落ちてしまう可能性が高くなります。不安な方は、事前に自分で情報開示を請求して確認しておきましょう。

5. 万全な面談対策

書類審査を通過すると、公庫の担当者による面談が行われます。。

ここでは、事業計画書に書かれた内容を難しい専門用語などはなるべく使わずに、自分の言葉で説明できるかが試されます。売上根拠や競合との差別化ポイント、想定されるリスクへの対策などを的確に答えられるよう、事前の模擬面談などの準備が不可欠でしょう。

公庫の創業融資の審査ポイントについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。

日本政策金融公庫の創業融資の流れ

日本政策金融公庫の融資申請の流れ

  1. 公庫の支店に借入申込書を提出またはインターネットから融資を申し込む
  2. 必要書類を準備する
  3. 公庫の担当者と面談する
  4. 公庫内で審査、結果の通知
  5. 指定の預金口座に着金

日本政策金融公庫の融資の流れについては以下の記事で詳しく解説しております。

日本政策金融公庫の融資は、申し込みから実際に口座にお金が振り込まれるまで、概ね1ヶ月〜1ヶ月半程度かかります。融資を希望される方は、まず融資申請の流れを把握しておきましょう。

スケジュールに余裕を持って動かないと、「開業日までに仕入れ代金が払えない」といった事態に陥るため注意をしましょう。

1. 公庫の支店に借入申込書を提出またはインターネットから融資を申し込む

日本政策金融公庫の融資申し込みは、借入申込書を最寄りの支店に提出するか(郵送可)、インターネットから融資の申し込みをすることができます。

2. 必要書類を準備する

日本政策金融公庫で借入を行うための必要書類を準備します。申請者によって必要となる書類は異なるため、事前に必要書類を確認しておく必要があります。

必要書類の詳細は以下の記事で解説しておりますので、参考にしてください。

3. 日本政策金融公庫の担当者と面談する

主に事業計画などについて質問されます。創業融資を希望される方は、創業計画書の記入項目を自分の言葉で説明できるように準備しておくと良いでしょう。

4. 日本政策金融公庫内で審査、結果の通知

公庫内での審査終了後、結果連絡があります。その後、借用証書などの契約に必要な書類が郵送されてきますので、書類に必要な情報を記入し、日本政策金融公庫の担当者へ返送します。

5.指定の預金口座に着金

日本政策金融公庫との借入契約手続きが完了した後、指定の口座に借入金が入金されます。

審査に落ちてしまう3つの理由

融資審査でつまずいてしまうケースには、共通する原因があるものです。まずは、ご自身の準備が以下の3つのチェックリストをクリアできているか確かめてみましょう。

1. 計画が少し大まか

事業計画書に書かれた数字に客観的な裏付け(証拠)がない場合、熱意を語っても審査を通過するのが難しくなってしまいます。「だいたいこれくらいで大丈夫だろう」と感覚で数字を決めていないか、今一度チェックしてみましょう。

2. 自己資金不足・お金の使い方が不透明

自己資金の金額だけでなく、そのお金をどうやって貯めたかを公庫は見ています。毎月の給与からコツコツと計画的に貯めてきた口座の記録を示すことが重要でしょう。

3. 税金や公共料金の滞納

日本政策金融公庫は無担保・保証人なしで融資を行うケースが多いため、事業の数字以上に「その人の誠実さ」を見ています。ここでのつまずきは、事業計画が完璧でも融資を見送られる原因の一つとなるでしょう。半年〜1年前から引き落としエラーを無くし、未納の税金は申し込み前にすべて完済しましょう。

税理士などの専門家に依頼するメリット

メリット1:事業計画書作成をサポートしてもらえる

融資審査を通過するためには、公庫の担当者を納得させる根拠ある事業計画書が不可欠です。チェックポイントを熟知している税理士に相談すれば、高評価につながる計画書の作成はもちろん、記載内容への細かい指導も受けられるため、融資の実現可能性が高まるでしょう。

メリット2:徹底した面談対策

融資審査で行われる面談では、経営者の資質から事業計画の細部まで問われるため、事前の入念な準備が欠かせません。融資実績が豊富な税理士のサポートを受ければ、質問の具体例を踏まえた好印象を与える面談対策が可能となり、面談に大きな不安を抱えている方にとって、本番を乗り切るための非常に心強い後ろ盾となるでしょう。

メリット3:融資可能額を想定してもらえる

開業準備を円滑に進めるためには、早い段階で融資可能額の目安を把握しておくことが重要です。審査には3週間〜1カ月ほどかかるため、審査結果を待ってから動き出すのでは起業が大幅に遅れてしまいます。その点、創業融資に詳しい税理士であれば、自己資金や経歴からおおよその融資可能額を算定し、効率的なスケジュールで開業へと導いてくれるでしょう。

まとめ

日本政策金融公庫の創業融資は、新しく事業を始める方にとって非常に力強い味方です。制度の改定によって申し込みのハードルは下がりましたが、だからこそ「根拠のある事業計画」「着実に貯めた自己資金」「誠実な信用情報」といった本質的な部分が、これまで以上に厳しくチェックされるようになっています。

融資や資金繰りの不安を解消し、理想の形で開業を迎えるために、融資実績が豊富な税理士へ相談してみてもよいでしょう。

弊事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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