青色申告特別控除とは?65万円控除要件やどこから引くのか?

「青色申告特別控除とは何?」

「65万円の青色申告特別控除を受けるためにはどうすればいい?」

青色申告特別控除には、10万円・55万円・65万円の控除があり、それぞれ適用するための要件が違うため、詳細を知りたい方もいらっしゃると思います。

当記事では、青色申告特別控除の要件、控除額の違いや赤字の場合の影響などの詳細を解説していきます。

目次

青色申告特別控除とは?どこから引く仕組み?

青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告する場合に受けられる特別控除のことをいいます。

個人事業主は、事業・不動産・山林などの売上から必要経費を差し引いた所得金額(儲け分)に対して税金が課されます。

この所得金額(儲け分)から、さらに一定金額を控除する仕組みが青色申告特別控除です。

青色申告特別控除を受けるためには、以下の期限までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。

青色申告承認申請書の提出期限

原則、青色申告する年の3月15日まで

青色申告する年の1月16日以後に開業した場合、開業から2カ月以内

青色申告承認申請書の書き方は以下の記事で解説しています。

青色申告特別控除(10万円/55万円/65万円)を受けるための要件

青色申告特別控除を受けるためには以下の要件を満たす必要があり、55万円/65万円の青色申告特別控除の適用を受けられない場合は、10万円控除となります。


 青色申告
特別控除額
青色申告特別控除の主な要件
 複式簿記*
による記帳
不動産所得
または事業所得
期限内
申告
 貸借対照表と
損益計算書の添付
e-Taxで電子申告
又は電子帳簿保存
10万円(簡易な記帳)
55万円
65万円
*所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していることを指します。現金主義を選択している事業者の特別控除額は10万円となります。                               

65万円控除/55万円控除の共通要件

青色申告特別控除(65万円または55万円)を受ける主な要件は以下の通りです。

複式簿記による記帳

帳簿の記帳方法は「複式簿記」と「単式簿記」があります。

青色申告特別控除(65万円または55万円)を受けるためには「複式簿記」で記帳しなければなりません。

複式簿記は記帳に手間がかかるうえに簿記などの専門知識が必要となる傾向があります。

簡単な帳簿であれば、会計ソフトや確定申告ソフトの利用で解決しますが、困った場合は税理士などの専門家にサポートしてもらうのもよいでしょう。

幣事務所においても、個人事業主・フリーランスや小規模事業者に対する会計・税務顧問サービスに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

不動産所得または事業所得

「不動産所得」「事業所得」「山林所得」のいずれか所得がある個人事業主は青色申告の対象者となります。

しかしながら、55万円または65万円の青色申告特別控除を受けることができるのは、上記のうち「不動産所得」または「事業所得」がある個人事業主に限られます。

「山林所得」のみの事業者は自動的に10万円の青色申告特別控除となるため、注意しましょう。

また、「不動産所得」で55万円または65万円の青色申告特別控除を受ける場合は事業的規模である必要があります。

不動産所得における事業的規模とは、アパートの場合は10室以上、独立家屋は5棟以上の貸与可能物件を保持しているなどの要件があるため、この点も注意が必要です。

期限内申告

確定申告の提出期限(原則3月15日)までに青色申告をする必要があります。

提出期限を超過してしまった場合は、青色申告特別控除などの優遇を受けられないだけではなく、延滞税などの罰金も発生してしまうため、期限は守るようにしましょう。

貸借対照表と損益計算書の添付

55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるためには、確定申告書の添付書類として貸借対照表と損益計算書の両方を提出する必要があります。

貸借対照表とは、ある時点における資産や負債の状況を示す書類で、損益計算書と併せて財務諸表と呼ばれるものです。

青色申告特別控除における65万円控除と55万円控除の違い

 e-Taxで電子申告又は電子帳簿保存

青色申告特別控除の主な要件を満たせば、55万円の控除が認められます。

さらに「e-Taxによる電子申告」または「電子帳簿保存」の要件を満たせば65万円の控除が受けられ、青色申告特別控除の最大控除額となります。

青色申告特別控除の要件を満たさない場合は10万円の控除がある

55万円または65万円の青色申告特別控除の要件を満たさない場合でも、10万円の控除を受けることができます。

10万円の青色申告特別控除の主なメリット

■複式簿記は必須ではなく、簡易的な記帳で手間が少ない

■青色申告決算書の提出について、損益計算書のみで良い(貸借対照表は不要)

■山林所得や事業的規模でない不動産所得でもOK

■e-Taxや電子帳簿保存の要件が無い

青色申告特別控除は赤字の場合は控除額が「0円」となる

個人事業主の所得(課税標準)が赤字の場合は、青色申告特別控除は「0円」となります。

青色申告特別控除は所得(課税標準)から控除されるものであるため、控除の対象となる所得(課税標準)がマイナスの場合は、控除の対象が無いということになります。

なお、青色申告者は赤字を翌年度以降の所得に繰り越すことが出来ることも覚えておきましょう。

青色申告特別控除の節税額は?住民税も減らせる?

青色申告特別控除の節税額は、所得金額やその他控除などの条件によって、変動します。

主に所得税、住民税、国民健康保険料の支払金額を減らせる可能性があることを覚えておきましょう。

下表のとおり、所得400~1,000万の方であれば25~30万円程度の節税につながる可能性があります。

①白色申告の場合

所得金額
(基礎控除後)
              税金等の金額
所得税および住民税国民健康保険料合計
4,000,000円780,322円427,240円1,207,562円
7,000,000円1,694,454円705,640円2,400,094円
10,000,000円2,801,044円861,690円3,662,734円

②青色申告の場合(65万円控除のケース)

所得金額
(基礎控除後)
              税金等の金額
所得税および住民税国民健康保険料合計
4,000,000円582,592円366,920円949,512円
7,000,000円1,495,192円645,320円2,140,512円
10,000,000円2,517,039円848,820円3,365,859円

③青色申告特別控除による節税額(②-①)

所得金額
(基礎控除後)
              税金等の金額
所得税および住民税国民健康保険料合計
4,000,000円▲197,730円▲60,320円▲258,050円
7,000,000円▲199,262円▲60,320円▲259,582円
10,000,000円▲284,005円▲12,870円▲296,875円

※上表はあくまで参考値となります。所得やその他条件によって変動する点、ご留意ください。

まとめ

青色申告特別控除は最大で65万円の所得を控除することが出来るため、多くの事業者にとって節税メリットがあります。

青色申告をする場合は手間や専門的な知識が必要になる場合もございますので、税理士などの専門家の利用を検討してみましょう。

幣事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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