会社設立時の資本金はいくらにする?金額の決め方や払込方法を解説

会社設立 資本金の基本と手続き 金額の決め方のコツから、払込方法・勘定科目の仕訳ま解説で徹底

「会社を設立しようと思っているけど、資本金はいくらに設定すればよい?」

「資本金の払込方法や手続きはどうやってやる?」

これから会社を設立予定の方の中には、資本金の金額の決め方や手続きについて詳しく知りたい方もいらっしゃると思います。

当記事では、資本金の金額を決めるときのポイントや払込手順、注意すべきポイントを解説していきます。

目次

資本金とは?

資本金とは、会社(法人)を運営するための元手となる資金を指します。

会社を設立するときに、出資者(経営者自身を含む)が出資したお金が資本金の元になります。出資されたお金は、原則として資本金になりますが、株式会社の場合はその2分の1までを「資本準備金」とすることもできます。資本金は、返済の必要がない「自己資本」の一部です。

これに対して、金融機関からの借入など、返済が必要な資金を「他人資本」と呼びます。

資本金は会社の規模を示す要素でもあるため、社会的な信用力に影響を与えます。

また、税法や会社法上の会社分類にも影響を与えるため、資本金の金額は税理士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。

弊事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

資本金の最低金額はいくら?1円でも会社設立できる?

2006年5月に施行された会社法で最低資本金制度が廃止されたため、法律上は資本金1円から株式会社を設立することができます。

しかし、資本金は会社の信用力を判断する材料の一つです。また、資本金1円で設立すると、設立費用などの支出だけで、すぐに債務超過(負債が資産を上回る状態)になってしまうおそれがあります。

特に会社設立後の創業融資を検討の方は、一定額の資本金を用意することが推奨されます。事業計画に合わせた金額を設定しましょう。

日本政策金融公庫のお借入れを検討の方は以下の記事もおすすめです。

(会社設立時)資本金の金額の決め方

前述の通り、資本金は社会的信用力に関わる重要なポイントであり、許認可や創業融資などを検討している方は特に注意が必要です。

以下の4つの観点を総合的に勘案して決定することをおすすめします。

① 初期費用と運転資金の観点
② 許認可の観点
③ 融資(資金調達)の観点
④ 税金の観点

順次詳しく解説していきます。

① 初期費用と運転資金の観点

会社設立にかかる初期費用や運転資金を計算し、事業が軌道に乗るまでの期間を持ち堪えられる金額を資本金に設定しておくと良いでしょう。

会社設立にかかる初期費用の例
・会社設立費用
・店舗事務所やオフィスの契約費用
・設備投資費用
・専門家への報酬費用など

会社設立後の運転資金の使いみち例
・仕入費用
・オフィス費用
・役員/従業員の給与
・広告宣伝費用など

業種や事業内容によって異なりますが、初期費用に加えて、売上が安定するまでの数か月分の運転資金を目安に考えるとよいでしょう。

② 許認可の観点

事業を行う上で許認可が必要な業種があります。

許可を取得する要件の中には、一定額以上の純資産(自己資本)や現金・預金などの財産的な要件が含まれていることがあります。設立直後の会社では、資本金の額がこれらの要件を満たすかどうかに直結するため、必ず確認しておきましょう。

許認可の要件に資本金が含まれる例

  • 一般建設業
    自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(国土交通省HPより)
  • 労働者派遣事業
    基準資産額2,000万円×事業所数以上、自己名義の現金・預金1,500万円×事業所数以上など(厚生労働省HPより)

「基準資産額」は資本金そのものではなく、貸借対照表の純資産から繰延資産などを差し引いて計算します。資本金だけで判断せず、所管の窓口や専門家に確認しましょう。

③ 融資の観点

設立時に日本政策金融公庫などの「創業融資」を検討している場合、資本金の金額設定には特に注意が必要です。融資審査では「資本金(自己資金)をいくら用意しているか」が厳しくチェックされます。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方などを対象とした融資制度です。担保・保証人は希望を伺いながら相談のうえ決まり、創業期の方は無担保・無保証人で利用できる場合もあります。

かつて求められていた「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件はすでに撤廃されており、理論上は自己資金ゼロでも申請が可能となっています。しかし、実際の審査では自己資金の額が重要な判断材料の一つとされる傾向は変わっていません。

日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月公表)では、開業時の資金調達額の平均1,219万円のうち、自己資金は平均279万円(22.9%)でした。制度上は自己資金がなくても申し込めますが、審査では自己資金の額や、それをどのように準備してきたかが判断材料の一つになります。創業融資を検討している方は、事業計画とあわせて自己資金の準備状況を整理しておきましょう。

日本政策金融公庫の創業融資については、こちらの記事で詳しく解説しています。

④ 税金の観点

法人税

法人税の税率は、原則として所得の23.2%ですが、資本金1億円以下の法人では、所得800万円以下の部分は15%、所得800万円超の部分は23.2%となっており、税率が優遇されています。※
国税庁HP参照
※適用除外事業者除く

この15%の軽減税率は時限的な特例措置で、2027年3月31日までに開始する事業年度まで適用されます。経済産業省は令和9年度税制改正要望で延長を求めており、延長されるかどうかは2026年12月に公表される税制改正大綱で決まる見込みです。

資本金1億円以下の中小企業者等には、この軽減税率のほかにも「少額減価償却資産の特例(2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、年300万円まで全額損金算入できる制度。常時使用する従業員400人以下などの要件あり)」や「交際費の中小法人の特例(年800万円まで損金算入できる制度)」など、活用できる制度がいくつかあります。

詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

法人住民税

法人住民税は会社が赤字の場合でも納める必要のある「均等割」があります。

例えば、東京都23区内に事務所等を有する法人で従業員が50人以下の場合、資本金等の額が1,000万円以下なら年額7万円、1,000万円超〜1億円以下なら年額18万円です。
※公共法人、公益法人等は一律で7万円
東京都主税局HP参照

資本金の金額で法人住民税が変動するため、覚えておきましょう。

消費税

資本金1,000万円未満で設立した会社は、原則として設立1期目・2期目の消費税の納税義務が免除されます(判定は各事業年度の開始時点の資本金で行います)。一方、資本金1,000万円以上で設立すると「新設法人」に該当し、設立1期目から課税事業者になります(新設法人の納税義務の特例|国税庁HP参照)。

ただし、資本金1,000万円未満でも、設立1期目の開始から6か月間の課税売上高と給与の支払額がいずれも1,000万円を超えると、2期目から課税事業者になります。

また、課税売上高が5億円を超える会社などから50%超の出資を受けて設立する場合は「特定新規設立法人」に該当し、資本金が1,000万円未満でも設立1期目から課税事業者になります。

詳細は税理士などの専門家に確認しておきましょう。詳細は税理士などの専門家に確認しておきましょう。

【インボイス制度導入後の注意点】
取引先が企業(BtoB)の場合、免税事業者のままだとインボイス(適格請求書)を発行できず、取引に影響が出る可能性があります。その場合は、免税期間があっても、設立1期目からインボイス発行事業者として登録する選択肢もあるため、事業形態に合わせて検討しましょう。

2029年9月30日を含む課税期間までは、免税事業者が「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出すれば、別途「消費税課税事業者選択届出書」を出さなくても課税事業者になれる経過措置があります。設立1期目の末日までに、設立日から登録を受けたい旨を記載して申請すれば、設立日にさかのぼって登録を受けられます。

なお、インボイス登録をした事業者向けの「2割特例」は、2026年9月30日を含む課税期間までの制度のため、2026年10月1日以後に設立する会社は使えません。消費税の計算は、本則課税か簡易課税のどちらかを選ぶことになります。

設立費用

資本金の額によって、設立時にかかる費用も変わります。

  • 登録免許税
    資本金の0.7%(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)
  • 定款認証手数料(株式会社のみ)
    資本金100万円未満は3万円(発起人が3人以下の個人で、取締役会を置かないなどの条件を満たす場合は1.5万円)、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円

株式会社の場合、資本金が約2,143万円を超えると、登録免許税が最低額の15万円を上回ります。

(会社設立時)資本金の払い込み方法

会社設立時の場合、定款認証後に資本金の払い込みを行う必要があります。

資本金の払込み方法は以下のステップで行うことが一般的です。

ステップ1:発起人の銀行口座を用意して、資本金を入金・用意する

会社の銀行口座は設立の登記が終わってから開設するため、払込みには発起人(個人)の銀行口座を使います。払込みは、定款を作成した後(株式会社は公証人による定款の認証を受けた後に行うのが一般的)に、出資する金額を新たに入金・振込します。もともと口座にある残高では払込みとして扱われないため注意しましょう。

通帳や明細に「出資者の氏名」と「金額」が印字(表示)される形で記録を残しましょう。

ステップ2:通帳のコピーを用意する

会社設立の登記時に、「資本金の振込先口座の通帳のコピー」を提出する必要があります。

通帳の以下の箇所をコピーしておきましょう。

通帳のコピー(3箇所)
・通帳の表紙
・通帳の表紙の裏(口座番号や口座名義人の記載があるページ)
・払い込み内容が記載されているページ

インターネットバンキングの場合は、金融機関名、銀行口座番号、名義、払込の金額や内容が把握できる明細書などを印刷するのが一般的です。

ステップ3:払込証明書を作成する

払込証明書とは、発起人から払込用の口座に資本金が払い込まれたことを証明する書類です。

主に以下の項目を記載します。

払込証明書の主な記載事項
・設立時発行株式数
・資本金の金額
・払込日
・会社名
・設立時代表取締役
法務局HP参照

※登記・供託オンライン申請システムや、法人設立ワンストップサービス(マイナポータル)で設立登記を申請する場合は、払込証明書と明細をPDFデータとして添付して提出することもできます。

(会社設立時)資本金の入金時の仕訳

会社設立時の資本金の入金仕訳は、発起人個人の口座になるため、以下の仕訳となります。

(例)会社設立時において、発起人が資本金300万円を発起人の個人口座に払込んだ場合(全額資本金と仮定)

借方貸方
預け金300万円資本金300万円

(例)会社設立後、会社の預金口座(普通)を開設したため、会社設立時に払い込まれた資本金300万円を会社の預金口座(普通)に振り替えた。

借方貸方
普通預金300万円預け金300万円

※出資額の一部を資本準備金とする場合は、「資本金」と「資本準備金」に分けて計上します。また、設立のためにかかった費用(定款認証手数料や登録免許税など)は「創立費」として処理します。

よくある質問

会社設立時における資本金の払い込みにおける見せ金とは?

見せ金とは、実際には出資していないのに、資本金が払い込まれたように見せかけることを指します。

例えば、会社設立時に一時的に外部からお金を借りて払い込み、設立の登記が終わった直後に、そのお金を引き出して返済するような行為が見せ金に該当します。

見せ金による払込みは無効とされ、事実と異なる登記をさせたとして刑事罰の対象になるおそれもあります。違法行為なので絶対に避けましょう。

資本金はいつまでに払い込む?

資本金の払込みは明確な期限が設けられておりませんが、「定款の認証完了後〜設立登記の申請前」の間に速やかに行うのが一般的です。払い込みの証明書が登記書類の一部になるため、日付の順番に注意して手続きを進めましょう。

払い込んだ資本金は設立後に使ってもいいですか?

資本金として払い込まれた現預金は事業の資金として使用することができます。資本金分の現預金は使用不可などの制限はないため、直後の備品購入や家賃の支払い、仕入れなどの事業活動に使用しましょう。

まとめ

資本金の金額の決め方や払込み方法などを解説いたしました。

資本金の金額は、今後の資金繰り、許認可、創業融資、税金面などを総合的に考慮して決めることが大切です。特に、消費税の免税を受けたい場合は1,000万円未満にすること、創業融資を受ける予定がある方は自己資金の準備状況もあわせて資金計画を立てるようにしましょう。

手続きや金額設定について不安がある方は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

弊事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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