公庫の団信保険料は経費に落ちる?仕訳や勘定科目を税理士が解説
「公庫の融資に団信をつけたけど、これは経費になる?」
「団信特約料は、どの勘定科目で仕訳処理する?」
創業時の強い味方となってくれる日本政策金融公庫の融資には、オプションで団体信用生命保険(通称:団信)を付与することができます。
団信の付与をした場合の会計処理や税務上の取扱いについて、詳しく知りたい方もいらっしゃると思います。
当記事では日本政策金融公庫の融資で団信を付与した場合の経費処理の可否や仕訳方法について、解説していきます。
前提知識
団体信用生命保険とは、資金の融資を受けられた方が、死亡や高度障がい状態になられた場合に、借入残高を保険金により弁済する制度となります。
日本政策金融公庫から事業資金融資を受ける場合、加入は任意となります。
団信特約料は経費にできる?
団信特約料の会計処理は法人と個人で異なりますので、以下の点を覚えておきましょう。
※以降は一般的な見解となりますので、必要に応じて税務署や顧問税理士にご確認ください。
個人事業主の場合
個人事業主が支払った団信特約料は、事業上の必要経費に該当しないため、経費にすることは出来ません。
また、個人の確定申告の時に受けられる生命保険料控除にも該当しないため、注意しましょう。
なお、特約料を経費に出来ない分、団信が実行された場合の債務弁済金に対して所得税は課税されません。
法人の場合
法人が支払った団信特約料は、事業上の経費にすることが出来ます。
なお、特約料を経費に出来るため、団信が実行された場合の債務弁済金は収入とみなされて課税の対象となります。
団信特約料の勘定科目は?
団信特約料を支払ったときの仕訳は以下の通りとなります。
個人事業主の場合
(借方)事業主貸 ×××円 (貸方)現預金 ×××円
法人の場合
(借方)保険料 ×××円 (貸方)現預金 ×××円
団信に入るべきか?メリットや特徴は?
団信は任意ですが、自己資金が潤沢にある方や事業が安定して成長していく見込みがある場合などを除けば、入っておく方が無難だと考えられます。
団信保険の特徴(まとめ)
①万一の時に借入金が完済となる
②特約料が低価格で沢山の事業者に利用されている
③法人の場合は特約料(掛金)を経費で落とせる
④加入手続きが簡単
①万一の時に借入金が完済となる
加入者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、公庫からの借入金は自動的に全額完済されます。
②特約料が低価格で沢山の事業者に利用されている
融資金額1,000万円で60か月払いの場合、初年度の年間特約料は2~3万円が目安となります。
また、令和5年4月現在で30万人以上の事業者に利用されている実績があります。
③法人の場合は特約料(掛金)を経費で落とせる
上述の通り、法人の場合は特約料(掛金)を経費で落とせるため、税金の支払いが減少する可能性があります。
④加入手続きが簡単
加入手続きは、「預金口座振替依頼書」と「申込書兼告知書」という書類を提出するだけで完了します。
※内容によっては追加書類が求められる場合もあります。
団信特約料のシミュレーション
団信特約料は以下のWebサイトで簡単にシミュレーションをすることが出来ます。
公益財団法人 公庫団信サービス協会|特約料お支払額シミュレーション
これから日本政策金融公庫の融資を受ける予定がある方は、事前に団信特約料の目安を確認してみるのも良いでしょう。
まとめ
事業には一定のリスクがつきものとなりますので、団信を検討してみることをおすすめします。
個人事業主の方は、誤って特約料を保険料として必要経費に算入しないように気を付けましょう。
幣事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。
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