川崎市で起業する人のための創業支援制度の活用手順

川崎市は隣接する東京都や横浜市へのアクセスが良好で、起業家向けの支援制度が非常に充実している地域です。
しかし、「国・神奈川県・川崎市のどれを使えばいいのかわからない」
「どの順番で手続きすれば一番メリットが大きいのか」
と迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
制度を正しく理解して使うことで、会社設立時の税金が半額になったり、無担保・低金利で資金調達ができたりと、初期費用とリスクを大幅に抑えることができます。
本記事では2026年度時点の制度情報に基づき、川崎市で起業する人が必ず押さえておくべき創業支援の活用法をわかりやすく解説します。
川崎市の創業支援の全体像(国・県・市の三層構造)
川崎市で起業する場合、「国」「神奈川県」「川崎市」それぞれが用意する支援制度を活用できます。これらはどれか一つを選ぶのではなく、掛け合わせることで資金調達やコスト削減のメリットを最大化できます。
| 区分 | 主な実施主体 | 主な制度・サポート内容 | 特徴・活用メリット |
| 国 | 日本政策金融公庫 / 中小企業庁 | 新規開業資金、小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金など | 全国一律で利用可能。創業融資の主力となる「公庫」や大型補助金が中心。 |
| 神奈川県 | 神奈川県 / 神奈川県信用保証協会 | 神奈川県制度融資(創業支援融資【創業特例】など) | 保証協会付き融資で保証料優遇(実質0%など)や低金利が適用される。 |
| 川崎市 | 川崎市(経済労働局)/ K-NIC / 川崎商工会議所 | 川崎市制度融資、特定創業支援等事業、K-NICでの各種伴走支援 | 地元に密着した創業相談、創業支援等事業計画に基づく証明書発行、地域独自の優遇策。 |
創業初期の資金繰りやコスト削減で大きなカギを握るのが、「川崎市の特定創業支援等事業」と「神奈川県・川崎市の制度融資」です。
川崎市・特定創業支援等事業
特定創業支援等事業とは、産業競争力強化法に基づき、川崎市や商工会議所などが開催する創業セミナーを受けたり、専門家の個別相談を継続して受けることで、市から「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」を発行してもらえる仕組みです。この証明書の交付を受けることで主に4つの実質的メリットを獲得できます。
・会社設立時の登録免許税が半額に減額
・信用保証枠の拡大と前倒し利用
・日本政策金融公庫の創業融資制度「新規開業資金」において金利引き下げ
・神奈川県制度融資創業特例で保証料実質ゼロ
順番に詳しく解説していきます。
メリット1:会社を作るときの税金(登録免許税)が「半額」になる
会社を設立する際、国に支払う「登録免許税」という税金が50%キャッシュバックされるイメージで軽減されます。
株式会社: 通常 最低15万円 ⇒ 7.5万円に!
合同会社: 通常 最低6万円 ⇒ 3.0万円に! ※これだけでも確実なコストカットになります。
登録免許税の軽減措置を受けるには、会社設立登記を法務局へ申請する前に市区町村から証明書の交付を受けている必要があります。設立後に証明書を取得しても過去の設立登記費用は安くならないので注意しましょう。
メリット2:信用保証枠の拡大と前倒しの特例
「創業関連保証(無担保・無保証・上限2,000万円)」は、中小企業信用保険法に基づき国(中小企業庁)が全国統一のルールとして規定している公的な信用保証制度です。実際の受付や審査といった保証業務は、地元の「神奈川県信用保証協会」などが担当しています。
通常、この保証付き創業融資は事業開始の2ヶ月前(個人事業主は1ヶ月前)にならないと金融機関へ申し込むことができません。しかし、川崎市の特定創業支援等事業の証明書を取得すると、事業開始の6ヶ月前から前倒しで申し込みが可能になります。
信用保証とは?
公的融資(制度融資など)を受ける際、万が一返済が滞った場合に「信用保証協会(神奈川県信用保証協会など)」が代わりに返済を立て替える(代位弁済する)仕組みのことです。実績のない創業期でも信用保証が付くことで、銀行などの金融機関は安心して融資を実行できるようになります。
メリット3:日本政策金融公庫「新規開業資金」の金利引き下げ
日本政策金融公庫の創業融資制度「新規開業資金」において、市区町村から「特定創業支援等事業を受けた証明書」の発行を受けて日本政策金融公庫へ提出することで、
通常適用される「基準利率」から金利が優遇された「特別利率(主に特別利率A)」が適用されます。
優遇のイメージ
- 標準: 基準利率
- 証明書提示時: 特別利率A(基準利率からおおむね 0.4%程度金利が低くなります)
申込者が「女性」または「35歳未満」「55歳以上」に該当する場合、特定創業支援等事業の証明書を組み合わせることで、ワンランク上の「特別利率B」が適用されます(通常より概ね0.65%程度低減)。
なお、日本政策金融公庫では「創業支援貸付利率特例制度」など、雇用創出や一定の条件によってさらに金利を優遇する特例制度も用意されています。
メリット4:神奈川県制度融資「創業特例」で保証料実質ゼロ
神奈川県の創業支援融資において、「創業特例」の要件を満たすことで、通常発生する信用保証料負担が実質ゼロ(0.00%)になる優遇を受けることができます。
【重要】「特定創業支援等事業の証明書」利用時のポイント
川崎市でのセミナー受講や手続きを経て証明書が発行されるまでには約1ヶ月以上かかるため、融資の申込スケジュールから逆算して計画的に準備を進めることが大切でしょう。
制度融資の具体的な手続きの流れ
川崎市や神奈川県の制度融資は、地元の銀行や信用金庫の窓口に行って申し込みます。また、手続きには相談から口座への振込完了まで、全体でおよそ1ヶ月半〜2ヶ月程度かかると想定しておきましょう。
1. 地元金融機関への相談・申請
【申請者(ご自身)】⇒ 【地元の銀行・信金】
事業計画書や創業予算表、川崎市の「特定創業支援等事業の証明書(取得している場合)」などの必要書類を準備し、地元の信用金庫や銀行の窓口へ「川崎市(または神奈川県)の制度融資を利用したい」と相談・申請をします。
2. 金融機関での担当者面談・一次審査
【金融機関】
担当者と面談を行い、事業計画の実現性や資金繰りについて説明します(店舗がある場合は現地確認などを行う場合もあります)。「この内容であれば保証協会へ打診できる」と判断(一次審査通過)されたら、金融機関が信用保証協会へ書類を取り次ぎます。
3. 信用保証協会による保証審査
【信用保証協会】 ⇒【申請者】
金融機関から書類を受け取った保証協会が審査を開始します。必要に応じて保証協会の担当者と申請者との面談(対面またはWeb)が実施され、事業計画の妥当性や実行可能性などを確認されます。審査を通過すると、保証協会から金融機関へ「信用保証書」が発行されます。
4. 自治体による補助適用の決定
【川崎市 / 神奈川県】
保証協会の決定と金融機関からの通知に基づき、市や県が「保証料補助」や「利子補給」の適用条件を満たしているかを確認・承認します(手続きの多くは金融機関側が裏側で連携して進めてくれます)。
5. 金融機関との金銭消費貸付契約・融資実行
【金融機関】⇒【申請者】
保証書の発行および自治体の補助適用が確認できたら、金融機関と最終的な「金銭消費貸付契約(借り入れの契約)」を結びます。手続き完了後、指定の口座へ資金が振り込まれます。
制度融資の特徴
制度融資では、市役所や保証協会とのやり取りを金融機関の担当者が間に入ってサポートしてくれます。
パートナーとなる金融機関には、メガバンクよりも親身に相談に乗りやすく、開業後も長期的にお付き合いしやすい地元の信用金庫(川崎信用金庫など)や地方銀行(横浜銀行など)を選ぶのがよいでしょう。
川崎市・神奈川県の融資関連支援(制度融資・信用保証)
資金調達の面では、「日本政策金融公庫(国)」と「自治体の制度融資(県・市)」の2つのルートを押さえておくことが重要です。
今回は、神奈川県の制度融資である「創業支援融資【創業特例】」と、川崎市の中小企業融資制度である「創業支援資金」の仕組みや活用方法について詳しく解説いたします。
日本政策金融公庫についてはこちらの記事で詳しく解説しております。
神奈川県制度融資:創業支援融資【創業特例】
神奈川県と信用保証協会、民間金融機関(横浜銀行や川崎信用金庫など)が連携して提供する代表的な創業融資制度です。
融資限度額:最大3,500万円
融資利率:年2.0%以内(創業特例適用時)
信用保証料率:0.00%(創業特例適用時)
担保・保証人:無担保・原則無保証人(法人代表者保証の解除に対応するSSS保証枠もあり)
神奈川県ホームページ|起業・ベンチャー支援拠点における創業支援融資(創業特例)
制度の各項目の要件および、起業時における実質的なメリットについて詳しく解説します。
融資限度額:最大3,500万円
資金用途
設備資金:店舗の内装工事費用、機械・設備導入、Webシステム構築費用など(返済期間:最長10年以内)
運転資金:商品の仕入れ、当面の家賃や人件費、広告宣伝費など(返済期間:最長10年以内)
実務でのポイント
創業期に上限満額(3,500万円)を借り入れるのは審査上ハードルが高いものの、1,000万円〜2,000万円規模のしっかりとした店舗開業や設備投資にも対応できる十分な枠組みとなっています。
融資利率:年2.0%以内(創業特例適用時)
民間銀行から実績のない創業期に借り入れを行う場合、3%〜4%以上の高い金利を提示されることもあるでしょう。
通常との比較
神奈川県の通常の創業支援融資(年2.2%以内)に対し、創業特例が適用されると「年2.0%以内」の固定または固定に近い低金利で調達できるでしょう。
金利負担が抑えられる理由
神奈川県が金融機関に対して資金を低利で預託(提供)しているため、起業家は市場の相場よりも有利な低金利で資金を確保できるでしょう。
信用保証料率:0.00%(創業特例適用時)
信用保証協会を利用する際、本来であれば融資額に応じた「信用保証料(手数料)」を支払う必要がありますが、この制度では起業家の保証料負担が実質ゼロ(0.00%)になります。
(※注:経営者保証を不要とするSSS保証等を選択した場合、保証料率は0.20%となるケースがあります)
担保・保証人:無担保・原則無保証人(SSS保証枠対応)
個人事業主であっても法人であっても、「不動産などの担保不要」「原則として第三者の保証人不要」で利用できます。
法人の代表者個人保証を外せる「SSS保証(スタートアップ創出促進保証)」
通常、法人として借り入れる場合は「代表者個人」が連帯保証人になることを求められます(=会社が倒産したら社長個人の財産から返済する責任を負う)。
しかし、神奈川県制度融資では「SSS保証(スタートアップ創出促進保証制度)」の要件を満たすことで、経営者個人の保証が不要(保証人なし)で借り入れが可能です。
SSS保証を適用するための主な要件(創業時)
・創業前または創業後5年未満の法人であること
・創業前または税務申告1期未終了の場合は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意できていること
自宅や預貯金などの個人資産にリスクが及ばないため、経営者が過度な不安を抱えることなく、柔軟で積極的な事業展開が可能となります。
創業支援融資「創業特例」を適用するための条件
神奈川県の創業支援融資における「創業特例(金利年2.0%以内・保証料0.00%)」は、公的なサポートと連携することで融資条件が劇的に優遇される制度です。
適用を受けるための主な要件(どちらかを満たすこと)
【要件A】特定創業支援等事業の活用川崎市などの自治体が指定する「特定創業支援等事業(創業セミナーや個別相談など)」を受講し、市区町村から証明書の交付を受けていること。
【要件B】創業支援機関による経営指導KIP(神奈川産業振興センター)、商工会議所、商工会などの公的支援機関から融資実行前後に経営指導を受けること。
通常の融資では「必要資金の発生に伴い金融機関へ申請する」という流れが一般的ですが、創業特例を適用させる場合には事前の手続きが必要となります。
【STEP 1】 まず市役所や支援機関で相談・セミナー受講(特定創業支援等事業を活用)
【STEP 2】 「証明書」を取得してから金融機関・保証協会へ融資を申請
【結果】 「創業特例」が適用され、低金利&保証料ゼロで融資が実行される
あらかじめ「特定創業支援」を受けるという正しい手順を踏むことで、神奈川県内における最優遇水準の手厚い融資制度を最大限に活用することが可能となるでしょう。
川崎市中小企業融資制度(創業支援資金等)
川崎市中小企業融資制度は、川崎市・川崎市信用保証協会・市内の取扱金融機関が連携して提供している公的融資です。神奈川県の制度融資や日本政策金融公庫と並び、川崎市で起業する方の強力な資金調達手段となります。
市内の取扱金融機関(信用金庫や地方銀行など)を通じて申し込む形となり、市が保証料の一部補助を行ったり、利子補給を実施するケースがあります。
川崎市が実施している独自の創業融資(アーリーステージ対応資金・女性若者シニア起業家支援資金などの「創業支援資金等」)について、その特徴や仕組みを詳しく解説します。
川崎市中小企業融資制度の特徴
| 項目 | 川崎市 創業支援資金等の主な内容 |
| 融資限度額 | 最大 3,500万円 |
| 融資利率 | 年1.6% 〜 1.9% 以内(自己資金割合や属性により変動) |
| 信用保証料 | 0.00%(川崎市が全額補助・引き下げ実施) |
| 返済期間 | 運転資金:最長7年以内(据置1年以内) 設備資金:最長10年以内(据置1年以内) |
| 取扱金融機関 | 川崎信用金庫、横浜銀行、神奈川銀行など市内の主要金融機関 |
川崎市独自融資(創業支援資金等)4つのメリット
1. 信用保証料ゼロ(0.00%)
全額補助施策公的融資を受ける際、通常は信用保証協会へ「保証料(年0.8%前後など)」を支払う必要がありますが、川崎市の創業向け資金では市からの保証料補助(年0.500%)と保証協会の引き下げ(年0.300%)を組み合わせることで、事業者の実質負担をゼロ(0.00%)に抑える優遇措置が取られています。
2. 自己資金の割合に応じた金利優遇(引き下げ)
川崎市の創業融資では、準備した自己資金の割合に応じて段階的に金利(融資利率)が安くなる仕組みが採用されています。しっかり計画を立てて自己資金を準備してきた起業家ほど、ランニングコストとなる金利を低く抑えられます。
基本利率:年 1.9% 以内
借入額の 1/3 以上の自己資金がある場合⇒ 年 1.8% 以内
借入額の 1/2 以上の自己資金がある場合 ⇒ 年 1.7% 以内
3. 女性・若者・シニア起業家へのさらなる優遇
資金代表者が「女性」「30歳未満」「50歳以上」のいずれかに該当する場合は、「女性・若者・シニア起業家支援資金」が利用できます。
通常の創業資金よりもさらに基準金利が0.1%低く設定されており、自己資金割合によっては、年間1.6%〜1.7%以内という低金利での資金調達が可能になるでしょう。
4. 特定創業支援の証明書で「6ヶ月前からの前倒し申請」が可能に
通常の市融資は「事業開始の1ヶ月前(法人設立は2ヶ月前)」からしか申し込めませんが、川崎市の特定創業支援等事業の証明書を取得していれば、「事業開始の6ヶ月前」から申し込みが可能になります。店舗確保や設備投資など、開業準備の初期段階で資金を確保できるため、スムーズな事業立ち上げにつながるでしょう。
川崎市・神奈川県の融資支援の使い分け
川崎市内で創業する場合、「川崎市の制度融資」と「神奈川県の制度融資」のどちらも利用可能です。それぞれの強みや特徴を理解し、事業計画に合わせて活用することが大切です。
神奈川県制度融資はこんな方におすすめです
・経営者保証(代表者保証)を外して、個人の資産にリスクを及ぼさずに挑戦したい法人(※SSS保証などを活用し、自宅や預貯金を担保・保証に入れず積極的な事業展開を行いたい方)
・将来的に横浜市など、川崎市外(県内全域)への店舗展開や支店開設を計画している方(※最初から神奈川県全域をカバーする保証協会と取引関係を築いておきたい方)
・市独自のコスト優遇(保証料補助)よりも、「保証人の不要化」や「県広域での信用力」を重視したい方
川崎市制度融資はこんな方におすすめです
・創業時の初期費用(特に信用保証料)をできる限り抑えたい方 (※特定創業支援等の活用で保証料0.00%の優遇を受けたい方)
・川崎市内に店舗・オフィスを構え、地域に密着した事業を展開したい方
・川崎信用金庫など、地元の金融機関と長期的で信頼のおける取引関係を築きたい方
・開業前(最大6ヶ月前)からゆとりを持って資金の目処を立てたい方
川崎市独自の補助金・コンテスト
資金調達の方法は融資(借入)だけではありません。川崎市では、市内で新しく挑戦する起業家を後押しする独自の「補助金」や「ビジネスコンテスト」も用意されています。
川崎市店舗等整備支援補助金(店舗・オフィス開設向け)
市内で新しく店舗や事業所を開設して創業する方を対象に、店舗の内装工事費や設備導入費用などの一部を補助する制度です。店舗を構える創業初期の負担を直接軽減できるため、非常に人気の高い補助金になります。
かわさき起業家オーディション(ビジネスプランコンテスト)
年に複数回開催されている、川崎市産業振興財団が主催するビジネスプランコンテストです。受賞すると賞金(起業家賞など)が得られるだけでなく、専門家によるハンズオン支援やVC(投資家)とのマッチング、融資優遇など、創業後の成長を早める手厚いサポートが受けられます。
神奈川県全体の補助金・支援策
川崎市内だけでなく、「神奈川県全体」を対象とした補助金や自治体連携の優遇制度もあります。上手く組み合せることで、初期投資や宣伝費の負担を大きく抑えることが可能になるでしょう。
神奈川県独自の創業・新事業支援補助金
神奈川県では、県内で新たに創業する事業者や、新しい分野へ挑戦する小規模事業者を対象に、広報費・広報宣伝費・設備導入費・システム開発費などの費用を補助する施策を時期に応じて実施しています。
特に「IT・デジタルの活用」、「人手不足を解消する省力化」や「地域課題の解決」といった要素を取り入れた事業計画は採択率が高まる傾向にあります。
各市町村の「特定創業支援等事業」と連動した支援策
神奈川県内の自治体(川崎市含む)で特定創業支援等事業のセミナーや個別相談を完了すると、国の「小規模事業者持続化補助金」で『創業枠』が使えるようになります。
これにより、通常の補助上限額(50万円)が最大200万円まで引き上げられる優遇措置が適用されます。 創業期の集客マーケティングやホームページ作成など、事業を本格的に軌道に乗せるための販促費用を大きくカバーできるため、川崎市で創業するなら必ず押さえておきたい極めて重要度の高い制度です。
国の制度で「川崎市・神奈川県で使える」主要補助金・助成金
自治体独自の補助金と並行して、国が実施している以下の補助金も川崎市・神奈川県内の創業者が積極的に導入されています。補助金や助成金は融資と異なり「原則返済不要」ですが、事前に事業費を自己負担(後払い)する必要がある点に注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金(創業枠)
創業時にWebサイト制作やチラシ作成、店舗改装などの販路開拓を行う際に最も活用される補助金です。通常枠の補助上限額(50万円)に対し、特定創業支援等事業による支援を受けた創業者は、創業枠として補助上限額が最大200万円(インボイス特例適用等で最大250万円)に引き上げられる特例が用意されています。
創業初期の集客やマーケティング経費の補填策として、優先して活用したい制度と言えるでしょう。
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
業務効率化や生産性向上を目的として、受発注システムや会計ソフト、POSレジといったITツールの導入費用を補助し、創業期の業務効率化や生産性向上をバックアップする制度です。
特に、創業直後からインボイス制度に対応したクラウド会計ソフトなどを導入する際に活用できます。申請枠(インボイス対応やAI機能実装など)に応じて50万円〜450万円程度まで補助され、小規模事業者であれば最大 3/4 〜 4/5という高い補助率が適用されます。
事業再構築補助金(※創業・新事業展開向け)
新分野への進出、大規模な設備投資、あるいはAI・ロボット導入による業務の自動化(省力化)など、比較的大きな初期投資伴う場合に活用する大型補助金です。
新商品の製造に必要な最新マシンや厨房機器の導入、独自システムの本格的なオーダーメイド開発、さらには新規事業立ち上げに伴う建物の建設費・大規模リフォーム費まで幅広く活用できます。
補助上限額は数千万円規模から最大1億円程度(補助率原則 1/2〜2/3)と非常に手厚いのが特徴です。
補助金額が大きい分、事業計画書には「市場性・成長性・収益性」などを論理的に証明することが求められます。採択率を高めるためにも、税理士などの専門家と相談しながら準備を進めるのがよいでしょう。
補助金は年間を通していつでも申し込めるわけではなく、年に数回設けられる公募期間内に申請する必要があります。また、原則として採択(決定)前に契約・発注・支払を行った費用は補助対象外となってしまうため、取り組む順番には十分ご注意ください。
補助金については下記の記事で詳しく解説しています。ご参照ください。

川崎市内で相談できる創業支援窓口一覧
川崎市内には、起業前〜起業直後の相談に乗ってくれる公的機関が多数そろっています。
| 相談窓口・機関 | サポート内容 |
| 川崎市経済労働局(イノベーション推進部等) | 市の施策全体の取りまとめ窓口。制度融資や特定創業支援の申請受付を行っています。 |
| かわさき新産業創造センター(K-NIC) | 川崎駅近くにある起業・創業支援拠点。ベンチャー・スタートアップから地域密着型起業まで、専門の支援員が無料で相談に応じてくれます。 |
| 川崎商工会議所(本所・各支部) | 川崎区・幸区・中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区の各エリアに拠点を展開。特定創業支援の相談や創業計画書の作成指導、創業特例融資の受付・経営指導を行っています。 |
| 専門家(税理士・公認会計士・行政書士) | 創業融資の申請書類作成や税務届出、特定創業支援等事業と連動した法人設立手続きなどをサポートしてくれます。 |
制度を最大限に活用する手順
公的支援制度の恩恵をしっかり受けるためには、手続きを進めるステップが極めて重要です。
STEP 1 ⇒ 創業相談と特定創業支援等事業の受講 起業の1〜3ヶ月前。
川崎商工会議所やK-NICなどの認定機関で創業相談を行い、特定創業支援等事業のプログラム(講習・相談)を受講します。修了後、川崎市へ「証明書」の交付申請を行います。
STEP 2 ⇒ 法人設立登記(証明書を添えて申請) 起業予定日
取得した「特定創業支援等事業の証明書」を法務局へ提出し、会社設立登記を行います。これにより登録免許税が半額(株式会社は7.5万円〜)に軽減されます。
STEP 3 ⇒ 創業融資の申請(公庫・県制度融資) 設立直前〜設立直後
創業計画書を作成し、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や神奈川県制度融資「創業支援融資(創業特例)」を申請します。制度融資の保証料免除や金利優遇を活用します。
STEP 4 ⇒ 補助金申請と開業準備・事業開始 事業スタート
創業枠が適用される「小規模事業者持続化補助金」などを申請し、Webサイト制作や販促費用の補助を受けながら事業活動を本格化させます。
まとめ
川崎市の公的支援制度は非常に充実している一方、「設立前の証明書取得」や「事業計画書の高い精度」が求められるため、手続きの順番ミスや不備によって活用できたはずのメリットを逃してしまうケースも少なくありません。
「どの制度を選べばいいか分からない」「融資審査を通過できるか心配」といった疑問や不安をお持ちの方は、創業支援の実績が豊富な税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
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