利益が出た年の節税対策|決算直前で後悔しないための早めの準備と正しい進め方

後悔しない決算期末の迎え方 直前対策の税務リスクと損する裏側を税理士が解説

「想定以上の利益が見込まれるが、今からでも間に合う節税策はないか」

決算月が近づくにつれ、こうした焦りや疑問を感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。

決算前に行う節税対策には厳格な期限が存在します。事業年度終了後に過去の損益を変更することは認められないため、期末日を境に選択できる施策は大きく限られてきます。

しかし、節税のために不要な経費を増やしてしまうと、手元資金を減らし、将来の融資審査や企業の信用評価に悪影響を及ぼしかねません。

本記事では、2026年の最新税制を踏まえ、決算直前に実行すべき施策とリスク回避のポイントを分かりやすく整理してまとめました。適切な手続きに基づいた節税を行い、手元に資金を残す決算対策にぜひお役立てください。

目次

令和8年度税制改正の全体像

2025年12月に公表された「令和8年度税制改正の大綱」では、「物価高への対応」と「強い経済の実現」を基本方針として、所得税・法人税・消費税にまたがる幅広い改正が行われました。特に法人課税の分野では、設備投資を後押しする税制措置が拡充される一方で、賃上げ促進税制のような従来の優遇措置については、対象を絞り込む形での見直しが行われています。

少額減価償却資産の特例:上限額を30万円未満から40万円未満に引き上げ、適用期限を2029年3月まで延長

賃上げ促進税制:教育訓練費の上乗せ措置を廃止し、控除率を見直し

中小企業経営強化税制:器具備品の取得価額要件の見直しと、適用対象となる企業規模の要件変更

制度の詳細や全体像については、財務省が公表している大綱の概要ページで確認できます。

決算前にできることには期限がある

節税対策を検討する上で最も重要なことは、「期末(決算日)を1日でも過ぎると、実行できる選択肢が激減する」という事実です。

法人税の計算は、原則として「その事業年度内に確定した損益」を基準に行われます。そのため、決算日を過ぎてから過去の事業年度の経費を増やそうとしても、税法上は認められません。

「決算手続き」と「実際の行動」の実行タイミング

「決算書を作るのは期末が過ぎてからの2か月間だから、その間に節税策を考えればいい」と考える経営者の方も少なくありません。しかし、決算日以降に行えるのは、期末時点ですでに存在していた取引の集計と整理です。

期末前にしかできないこと
決算賞与の通知、不要な固定資産の廃棄・売却契約、少額資産の購入・稼働開始、納品やサービス提供が完了している修繕・広告の発注など

期末後でもできること
未払い経費の計上漏れチェック、貸倒損失の適用判断、確定申告書への税額控除書類の添付など(一部に限られる)

時間が限られているからこそ、「期末までに着手すべきこと」と「期末後でも間に合うこと」を明確に区別し、優先順位をつけて実行することが重要でしょう。

節税の考え方の基本や、やってはいけない節税対策については下記の記事で詳しく解説しています。

決算3か月前からのスケジュール

決算対策を進めるうえで、まず行うべきは、「今期の最終的な着地予測(売上・利益・残金)を事前に正しく試算する」ことです。

見込み利益が不透明な状態で節税に動くと、過剰な節税で資金繰りを圧迫したり、十分な節税効果が得られないまま手遅れになったりするリスクが生じます。期末直前で焦らないよう、決算3か月前を目安に以下の流れで準備を進めていきましょう。

時期段階主なアクション・取り組むべきこと
決算 3か月前現状の把握・直近までの試算表を作成・集計する
・今期の「着地見込み利益」を試算する
決算 2か月前対策の選定・税理士と決算対策会議を行う(節税案の抽出)
・修繕、広告、設備投資などの実行を検討・手配する
決算 1か月前施策の完了・決算賞与の社内通知・支給手続きを行う
・不要資産の処分(廃棄・売却)を完了させる
・未払い経費や計上漏れを洗い出す
期末(決算日)実行の締め切り当期施策の実行期限
※これ以降は期中施策の追加・実行が不可となります
期末後(2か月以内)集計・手続き・決算書を作成・確定申告を行う
・各種特例の適用手続き・納税を完了させる

1. 決算3か月前:着地見込みの試算(現状の正確な把握)

直近の試算表(損益計算書・貸借対照表)を正確に作成・集計し、残り3か月間の売上見込みと固定費などの見込み支出を足し引きして、最終的にいくらの利益(または赤字)が出るかを確認しましょう。

・未入力の領収書や請求書を整理し、最新の月次試算表を完成させる

・入金確定済みの受注案件や、発生が確定している固定費(人件費、家賃、通信費など)を洗い出す

・季節変動や大型案件の成否による「上振れ・下振れパターン」の損益シミュレーションを作成する

残り3か月になると、予測精度が高まります。この段階で最終的な着地利益の目標値が見えなければ、「いくら節税すべきか」「いくら手元にお金を残せるか」という対策の規模感(予算)の設定が難しくなるでしょう。

2. 決算2か月前:施策の選定と見積もり(計画と手配)

試算された着地予想利益をもとに、自社に必要な節税策の規模や、取り入れるべき節税プランを明確にします。設備投資や修繕工事、備品調達などは、見積もりから納品・設置までに時間を要するため、この時期までに着手する必要があるでしょう。

・顧問税理士と決算対策の打ち合わせを行い、自社に最適な節税策を提案してもらう

・店舗やオフィスの修繕、Webサイトの改修、設備の購入など、見積もりの取得と発注手続きを開始する

・少額減価償却資産(PCや備品など)の選定と発注を行う

・中小企業経営強化税制など、事前の計画承認が必要な各種特例の手続きに着手する

節税策を経費として計上するためには、「期末までに納品・工事・実際の使用(稼働)まで完了している」という実態が求められます。納品や設置には相応の準備期間がかかるため、決算直前の手配では今期の経費に間に合わないおそれがあります。確実に節税につなげるためにも、2か月前の着手が安全な決算対策の限界線と言えるでしょう。

3. 決算1か月前:最終実行と書類の準備(実行と証拠の確保)

決算賞与の支給通知や不要資産の処分など、税務調査で追及されやすい施策の適用要件を厳格にクリアしていきます。

単に対策を行うだけでなく、税務署から指摘を受けた際に正当性を証明できるよう、手続きの実施日や事実関係を示す「証明書類」を確実に作成・保存します。

決算賞与
期末までに全支給対象者へ「支給額」を個別に書面やメール等で通知し、受領確認を残します。

不要資産の処分
使用していない固定資産や売れない在庫を実際に廃棄処分し、業者からの「廃棄証明書」や処分前後の写真を保管します。

未払い経費の洗い出し
当期中にサービス提供を受けている電気代、通信費、クレジットカードの利用明細などを確認し、未払計上漏れを防ぎます。

期末直前(1か月以内)に駆け込みで行う節税策は、税務調査で「利益操作のための実体のない経費ではないか」と疑われやすい可能性があります。税法で定められた要件(通知日付や廃棄の客観的証拠)を確実に満たす形で実行し、損金算入できる状態を整えましょう。

期末直前(1か月前)に実行すべき節税対策一覧

利益が出そうな決算直前に確認・実行すべき主な節税対策をまとめました。自社で取り入れられるものがないか確認していきましょう。

経費計上漏れ・未払計上のチェック

追加の資金支出なしで、税務上正しく認められた方法で税金を抑えられるのが「経費の計上漏れ防止」と「未払計上」です。

項目具体的な対応・要件必要書類・注意点
1人あたり10,000円以下の
接待飲食費振り分け
社外の相手との会食(1人1万円以下)を交際費から除外して全額損金化領収書等に、参加人数・相手方の会社名・氏名・年月日を明記
クレジットカード決済の
未計上分チェック
期末間近のカード決済(翌期引き落とし分)を未払金として今期経費化期末までに、使用・納品(サービス提供)が完了していることが必須
未払費用の計上
(電気代・通信費・社保等)
当期中にサービス提供を受けている未払・請求書未着費用を「未払費用」で今期損金化水道光熱費、スマホ代、当月給与対応の社保会社負担分などが対象
家事按分・立替経費の
再計算
役員の立替経費や、自宅兼事務所の家賃・光熱費などの按分率を再確認業務使用割合(スペース比率・時間比率など)の根拠資料を整理
短期前払費用の特例活用
法人税基本通達2-2-14
年払い契約の費用(家賃・保険料・Webライセンス等)を支払時点で1年分まとめて損金化継続処理が条件。毎年同時期に支払う契約であるか確認

2024年度の税制改正により、損金算入できる交際費等のうち、飲食費の除外基準が1人当たり5,000円以下から「1万円以下」へ拡充されました。

あわせて、中小法人における「年間800万円までの定額控除制度」および「接待飲食費の50%損金算入制度」の特例措置についても適用期限が再編され、2027年3月31日までに開始した事業年度まで3年間の延長が決定しています。

2. 不要資産の処分・貸倒れの検討

自社で抱えている「使っていない資産」や「回収できない売掛金」を処理することで、帳簿上の利益を圧縮できる可能性があります。

項目対応内容・要件必要書類・注意点
固定資産の廃棄
(除却損の計上)
使っていない古い機械、壊れたPC、不要オフィス家具等を実際に処分・廃棄して「固定資産除却損」を計上廃品回収業者の「産業廃棄物管理票」、「廃棄証明書」、処分前の写真など
商品・製品の評価替え・処分
(棚卸資産)
型落ちして売れない在庫や型崩れ商品を廃棄(=商品廃棄損)または値下げして販売する廃棄時の写真や廃棄業者の伝票、値下げ販売時は価格変更履歴・売上伝票の控え
回収不能な売掛金の貸倒処理
(貸倒損失)
回収できない売掛金・未収入金を「貸倒損失」として経費化(法人税基本通達9-6-1〜3)破産・倒産証明、または取引停止後
1年以上経過かつ回収不能の証明。督促履歴・内容証明郵便控え等

3. 決算賞与・修繕・広告等の前倒し検討

資金の持ち出しはあるものの、翌期以降の業績拡大や社員への還元につながる費用対効果の高い節税施策です。

項目対応内容・要件必要書類・注意点
少額減価償却資産の特例による備品購入青色申告の中小企業が、1単位40万円未満のPC、器具備品、ソフトウェア等を取得した場合、年間合計300万円まで即時一括で損金化できる単に支払いだけでなく、期末までに「納入され、事業で使用開始(稼働)」していることが必須条件
決算賞与(期末手当)の支給期末までに支給できなくても、3要件を満たせば今期の損金として計上可能
①期末までに個別通知
②期末から1か月以内に支給
③当期決算で未払計上
書面通知+受領印(またはメール送信履歴)が必須。
1人でも金額相違や支給遅れがあると全員分不認可になり追徴課税のリスクあり
修繕費の前倒し実行壁紙張り替えや設備点検・修繕など、近々予定していたメンテナンスを期末までに完了させる設備の価値を高める工事(リフォーム等)は「資本的支出」となり減価償却が必要。
見積書・完了報告書を保管
広告宣伝費・Webサイト改修等の前倒し翌期に向けた求人広告やマーケティング費用を今期中に執行する期末までに広告が「実際に掲載・露出」されていることが必須条件(掲載が翌期の場合は「前払費用」扱い)

【2026年最新ルール】少額減価償却資産の特例の要件

この特例は令和8年度税制改正で内容が変わっており、資産をいつ取得したかによって適用される基準が異なる点に注意が必要です。

  2026年3月31日までに取得2026年4月1日以後に取得
取得価額の上限1点あたり30万円未満1点あたり40万円未満
対象事業者(従業員数)常時使用する従業員数が500人以下常時使用する従業員数が400人以下
年間合計限度額1事業年度あたり合計300万円まで(共通)同左
適用期限2029年(令和11年)3月31日まで(延長済み)同左

3月決算以外の会社は、期の途中で基準が切り替わる可能性があるため、「いつ発注し、いつ納品・稼働開始したか」を必ず確認しておきましょう。

4. 各種特例・控除の適用可否確認

節税対策というと「経費を増やして利益を落とす」方法を思い浮かべますが、国が用意している税制優遇(税額控除や特別償却)を使えば、利益や手元資金を削ることなく、納税額そのものを直接減らすことが可能です。

中小企業が絶対に押さえておくべき代表的な2大制度「賃上げ促進税制」と「中小企業経営強化税制(・投資促進税制)」について、実務上の注意点や活用ポイントを詳しく解説します。

賃上げ促進税制の活用 2026年は「事業年度の開始日」で新旧制度が分かれます

賃上げ促進税制とは、前年度と比較して「従業員への給料支給額」を一定割合以上増やした場合に、給与増加額の15%〜45%分を法人税から直接差し引ける制度です(控除できる上限は法人税額の20%まで)。

単に経費として落とす(損金算入する)だけでなく、計算された税金から直接差し引くことができるため、節税効果が高いのが特徴です。

令和8年度税制改正でどう変わったか

これまで中小企業向けの賃上げ促進税制には、基本の控除に加えて「教育訓練費を一定以上増加させた場合の上乗せ措置(+10%)」がありました。この上乗せにより、要件をすべて満たした場合の最大控除率は45%となっていました。

令和8年度税制改正では、この教育訓練費の上乗せ措置が廃止され、制度の適用は事業年度の開始日によって新旧どちらの制度になるかが決まります。

事業年度の開始日最大控除率主な変更点
〜2026年3月31日45%教育訓練費の上乗せ措置あり
2026年4月1日〜35%教育訓練費の上乗せ措置が廃止
項目内容・要件
主な要件継続雇用者の給与支給総額が前年度比で一定以上増加していること
節税効果給与増加額の最大30%〜45%を法人税額から直接控除(上限:法人税額の20%)
赤字対策引き切れなかった控除額は5年間繰り越し可能

適用時期の具体例
3月決算の法人であれば、2026年3月期(2025年4月開始)までは旧制度(最大45%)が適用され、2027年3月期(2026年4月開始)からは新制度(最大35%)が適用されます。決算期によって適用される制度が変わるため注意しましょう。

自社の「決算月がいつ始まったか(事業年度開始日)」がどちらの制度の対象になるか、事前に確認しておきましょう。

役員や役員の親族に対する給料は対象外です。あくまで「一般従業員(パート・アルバイト含む)」の給与が対象となるため、集計時の区分けに注意しましょう。

中小企業経営強化税制・投資促進税制の活用(適用期限:2027年3月31日まで

中小企業経営強化税制・投資促進税制とは、新品の機械装置、器具備品、ソフトウェアなどを購入・導入した際、即時償却(全額を一括で経費化)」または「取得価額の7〜10%の税額控除のどちらかを選んで適用できる制度です。

通常、高額な設備は「耐用年数」に応じて数年に分けて経費化(減価償却)しますが、この制度を使うことで購入した期に一気に経費に落とすことができます。

項目中小企業経営強化税制中小企業投資促進税制
主な要件新品の機械装置・器具備品・ソフト等で、事前の計画認定(経営力向上計画など)を受けた指定設備であること新品の機械装置・一定のソフトウェア等(経営強化税制より認定手続きが比較的簡略)
節税効果
(選択適用)
即時償却(購入額の100%を当期に一括経費化)
税額控除 7%〜10%(税金から直接差し引き)
特別償却 30%(取得価額の30%を上乗せ経費化)
税額控除 7%(税金から直接差し引き)
赤字対策
(繰越控除)
税額控除を選んで控除しきれなかった場合、翌期へ1年間繰り越し可能税額控除を選んで控除しきれなかった場合、翌期へ1年間繰り越し可能
注意点設備取得(納品・稼働)の前に計画申請・認定を受ける必要あり経営強化税制に比べて即時償却が使えないため節税の即効性はやや劣る

中小企業経営強化税制中小企業投資促進税制の認定を受けるためには、事前の手続きが必要となります。詳しくは中小企業庁ホームページを参考にしてください。

令和8年度税制改正による器具備品要件の見直し

中小企業経営強化税制は2025年度税制改正で適用期限が2年延長され、2027年(令和9年)3月31日まで利用できます。これに加えて、令和8年度税制改正では対象設備の要件そのものにも変更が加わっています。

・器具備品の取得価額要件が引き上げ
これまでより高い金額基準が設けられ、対象となる器具備品の取得価額要件が「40万円以上」に見直されました。単価の低い備品を導入する場合は、この特例ではなく前章の「少額減価償却資産の特例」を検討することになります。

・対象外となる企業規模の見直し
常時使用する従業員数が400人を超える法人が、新たに制度の対象外となりました(改正前は500人超が対象外)。

自社が「どちらの制度を使うべきか」「引き続き対象企業に該当するか」を、設備投資の計画段階で確認しておくことが重要です。原則として設備取得前の計画申請が必要ですが、取得日から60日以内に申請が受理されれば特例的に認められる場合もあるため、早めに顧問税理士へ相談しましょう。

経費を増やして節税するリスク

決算前の節税対策を進める上で、避けるべき典型的な過ちが「税金を払いたくないあまり、無駄な買い物を重ねて会社のお金を減らしてしまうこと」です。

1. 税金は減っても「手元の現金は減る」仕組み

お金を使う節税で重要なのは、「経費を使っても節約できる税金は約3割(法人税率約30%の場合)で、手元の現金は残り7割減る」という仕組みを正しく理解しておくことです。

例:節税目的で100万円の買い物をした場合

経費 : 100万円
減らせる税金:約30万円
手元から失われる現金:70万円

税金を払いたくないという理由だけで買い物をすると、節税額以上に手元の現金が減り、自ら資金繰りを圧迫し、黒字倒産のリスクを高める可能性があるため注意しましょう。

2. 銀行からの融資審査・信用格付けへの悪影響

無理な節税によって利益を押し下げたり、手元資金を減らすと、銀行からの評価が低下する可能性があります。

自己資本比率の低下
税金を正しく納めた後に残る利益が「繰越利益剰余金」として会社に蓄積されます。過度な節税で利益を消してしまうと純資産が増えず、会社の信用力を高め倒産リスクを下げる自己資本比率も上がらなくなります。

返済能力(債務償還年数)の評価低下
銀行は「当期純利益 + 減価償却費」を主な判断基準として、借り入れを何年で返せるか(返済能力)を厳格に評価し、融資枠を決めます。無理な節税で利益を意図的に抑えると、「返済能力が低い会社」とみなされ、必要なタイミングで資金調達ができなくなる可能性があります。

将来的に融資を受けて事業を拡大する計画がある場合は、適正に利益を出して税金を払い、手元資金(自己資本)を厚くすることが最大の経営対策となるでしょう。

期末を過ぎてからでもできること・できないこと

「気づいた時には決算日を過ぎてしまっていた」という場合でも、まだできる対策は残されています。

申告までの2か月間にできる対策と、決算日を過ぎると実施できない対策をまとめました。

項目決期末後の実行理由・ポイント
未払費用・未払金
計上
〇 可能サービス提供や納品が期末までに完了していれば、請求書が翌期に届いても経費計上可能。
回収不能な売掛金
の貸倒処理
〇 可能倒産や法的手続きが期末前に発生していれば、決算書作成時に貸倒処理が可能。
各種税額控除
適用申請
〇 可能賃上げ促進税制など、要件を満たしていれば確定申告書に明細を添付して適用可能。
決算賞与の支給通知× 不可能期末までの社内通知が必須要件 期末を過ぎてからの通知は損金算入不可。
少額減価償却資産
購入・設置
× 不可能期末までに購入だけでなく「事業として使用開始(納品)」している必要がある。
固定資産の廃棄・
除却
× 不可能 実際の廃棄処分や解体契約が期末前に完了している必要がある。
短期前払費用の
新規契約・支払
× 不可能 期末までに実際の支払いが完了していなければ適用できない。

このように、期末を過ぎてから対応できるのは「集計手続きや申告上の特例適用」に限られます。実際の支出や契約を伴う節税策」は、決算日までに完了させておかなければなりません。

決算前に税理士に相談すべきタイミング

決算対策で十分な節税効果を得るためには、税理士へ相談するタイミングが重要になります。相談の時期が遅くなればなるほど、実行できる決算対策の選択肢は限られてしまいます。

遅くとも「決算の2〜3か月前」には相談を

この時期に動き始めることで、以下のようなメリットが得られます。

着地利益の高精度な試算

決算直前まで利益が見えない状態では、節税を意識しすぎて資金を減らしすぎたり、逆に対策が足りずに予期せぬ税額に驚くことになります。2〜3か月前であれば最終的な着地利益の確度が高く、資金繰りを圧迫しない効果的な節税額のラインを設定できるでしょう。

手続きや契約に時間を要する「節税特例」を活用できる

中小企業向けの税額控除(賃上げ促進税制など)や即時償却の手続き、固定資産の処分業者手配など、事前申請や書類準備が必要な施策も漏れなく計画的に進められるでしょう。

計画的な支出で資金を守り、翌期につながる節税策をを選べる

決算直前に慌てて不要な経費を計上するリスクを回避し、集客を加速させる広告宣伝や社員還元といった、事業の成長につながる施策に絞り込んで計画的に予算を投入できます。

決算直前のご相談では、時間的な制約から「本当は使えたはずの特例や優遇税制」を諦めざるを得なくなります。

また、直前で慌てて実行した対策は、客観的な裏付け(取引の実体)が不十分になりやすく、後日の税務調査で否認され、重加算税などの追徴課税を受けるリスクを高めてしまいます。そのため、税理士側としても直前での無理な節税対応はお引き受けできない場合もあります。

だからこそ、節税対策は「決算直前」ではなくできるだけ早いタイミングでのご相談が大切です。余裕を持って計画を進めることで選択肢が広がり、会社の手元資金を守りながら節税効果を最大化する「自社にとっての最適解」を一緒にじっくり検討することができます。

まとめ

期末を過ぎてから対応できるのは書類上の集計などに限られ、お金の動く節税施策はすべて決算日前に終わらせる必要があります。

また、2026年(令和8年度)税制改正により、少額減価償却資産の特例・賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制といった主要な制度の内容が見直されており、「いつ取得したか」「いつ事業年度が始まったか」によって適用される基準が異なるケースが増えています。

古い情報のまま判断してしまうと、使えるはずの特例を逃したり、逆に対象外の制度を前提に計画してしまったりするおそれがあるため注意しましょう。

直前の駆け込み相談は、使える優遇税制を逃すだけでなく、証拠不足による追徴課税のリスクまで抱え込むことになります。

余裕のある時期から準備を始めることで、無駄な支出を防ぎ、手元に資金を残しながら翌期の成長へ繋がる「税務リスクを抑えた安全性の高い節税」を実行できます。

貴社にとって最もメリットの大きいプランを準備していきましょう。安心・安全な決算を迎えるためにも、まずは一度お気軽にご相談ください。

弊事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの税務申告・開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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