開業届の必要書類・必要なものや提出方法を徹底解説
「開業届を提出するために必要な書類は?」
「開業届の提出方法はオンラインで出来る?」
個人で事業を始めようとする方は、まず開業届を税務署に提出する必要があり、初めての対応となる方が多いと思います。
当記事では、開業届を提出するために必要な書類や提出方法を詳しく解説していきます。
開業届を提出することのメリットを知りたい方は以下の記事もオススメです。
開業届の提出時に必要なもの
開業届とは、新たに事業を開始したことを税務署に届け出るための書類であり、正式名称は「個人事業の開業・廃業届出書」といいます(国税庁HP参照)。
開業届の提出時に必要なもの・準備しておくと良いものは以下の通りです。
開業届(個人事業の開業・廃業届出)
開業時に事業主は「個人事業の開業・廃業届出書」および「控え」書類を開業日から1カ月以内に税務署へ提出する必要があります(国税庁HP参照)。
書類は国税庁HPよりダウンロードするか最寄りの税務署で書類を直接入手することができます。
※パソコンからe-taxソフトで届出書を作成し、提出することも可能となります。
本人確認書類
税務署では、なりすまし等を防止するために本人確認を実施しております。
なお、本人確認書類の必要の有無は開業届の提出方法により異なります。
税務署の窓口に開業届を持ち込む場合
運転免許証、パスポートやマイナンバーカードなどの本人確認書類を持参して、窓口で本人確認を行います。
郵送で開業届を提出する場合
郵送で開業届を提出する場合は「本人確認書類の写し」を添付する必要があります。
「本人確認書類(写)添付台紙」は国税庁HPよりダウンロードして取得することができます。
e-Taxによりオンラインで開業届を提出する場合
e-Taxによりオンラインで開業届を提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付は不要となります。
マイナンバーが把握できるもの
マイナンバーを把握できる書類が必要となります。
マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナンバーカードを持参または写しを添付して郵送することになります。
マイナンバーカードをお持ちでない方は、通知カードやマイナンバーの記載のある住民票の写しまたは住民票記載事項証明書などが必要となりますので、準備しましょう。
ご印鑑
以前は開業届に押印する必要がありましたが、近年は廃止されております。
しかしながら、開業届の記載内容に訂正が必要となる場合は、該当箇所を二重線で消して、修正印をする必要があるため、税務署に書類を持ち込む場合は、ご印鑑を用意しておく方が良いでしょう。
開業時に必要なその他の書類
開業時には、開業届以外にも管轄の税務署に提出する必要がある書類が多数あります。
提出書類 | 提出期限 |
所得税の青色申告承認申請書 | 開業の日が1/1~1/15の場合➡3/15まで 上記以外の場合➡開業の日から2カ月以内 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 開業の日が1/1~1/15の場合➡3/15まで 上記以外の場合➡開業の日から2カ月以内 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | なし(特例を受ける月の1日の前日まで) |
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 | 開業した年度の確定申告書の提出期限まで |
所得税の青色申告承認申請書
所得税の「青色申告承認申請書」とは、所得税の青色申告の承認を受けようとする場合に提出するものです(国税庁HP参照)。
青色申告承認申請書の提出期限
■開業の日が1月1日~1月15日までの場合・・・同年3月15日まで
■開業の日が1月16日以降の場合・・・開業の日から2カ月以内
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告は白色申告と比べて作成に手間がかかったり、一定の要件を満たす必要がありますが、税制上の優遇(税金が安くなる等の優遇)を受けることができます。
一般的には開業届と同時に提出することが多く、青色申告のメリットを享受するためにも、提出を強く勧めております。
青色申告承認申請書の書き方は以下の記事で解説しております。
青色事業専従者給与に関する届出書
原則、親族や配偶者などに支払う給与は、個人事業主の収入を分散させているとみなされるので、経費に計上できません。
「青色事業専従者給与に関する届出書」とは、青色申告で確定申告をする事業者が親族や配偶者などに対して支払った給与を経費として計上するために必要な届出書のことです(国税庁HP参照)。
青色事業専従者給与に関する届出書
■開業の日が1月1日~1月15日までの場合・・・同年3月15日まで
■開業の日が1月16日以降の場合・・・開業の日から2カ月以内
事業を手伝う親族や配偶者などがいらっしゃる場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出について検討してみましょう。
正しく青色事業専従者給与を設定し、支給することで節税につながります。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」とは、従業員を雇用する事業主が源泉所得税の納期特例の承認に関する申請書となります(国税庁HP参照)。
個人事業主は、雇用している従業員に支払う給与のうち源泉徴収分を徴収して、支給月の翌月10日までに納付する義務があります。
この源泉徴収の納付義務について、給与の支給人員が常時10人未満の場合は特例として年2回にまとめて納付できる制度があります。
通常の源泉徴収税の納期・・・支給月の翌月10日までに(毎月対応)
特例の源泉徴収税の納期・・・1月~6月支給分➡7月10日まで、7月~12月支給分➡翌年1月20日まで
※源泉所得税の納付が1日でも遅れてしまった場合は、不納付加算税という罰則金が発生してしまうため、気を付けましょう。
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」とは棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を変更するための届出書です。
評価方法や償却方法によって、確定申告で納付または還付される所得税の金額に影響があるため、不安な方は顧問税理士に相談することをオススメします。
棚卸資産の評価方法
棚卸資産とは、企業が販売目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称のことであり、簡潔にいえば在庫のことを指します。
特段の届出がない場合は、年末までに販売できなかった在庫の金額を最終仕入原価法で算出して確定申告を実施します。
最終仕入原価法とは、年度末に最も近い時期に取得した商品の単価をもって、取得価額を評価する方法となります。
棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法以外にも、個別法、先入先出法や移動平均法などの評価方法があります。
最終仕入原価法以外の評価方法を適用する場合は、所得税の棚卸資産の評価方法の届出書を確定申告の期限日までに税務署へ提出する必要があります。
減価償却資産の償却方法
減価償却資産とは、事業のために用いられる建物、機械装置、備品、車両運搬具などの資産のことで、時の経過等によって、その価値が減っていきます。
減価償却資産の価値が減った分は減価償却費として経費処理しますが、その償却方法は、原則として個人事業主は定額法で償却を行います。
この点、機械装置や備品などの一部の減価償却資産は、減価償却資産の償却方法の届出書を確定申告の期限日までに税務署に提出することで定率法で償却することができます。
一般的に定額法より定率法の方が資産を取得した年に多くの金額を償却(経費化)することができるため、創業間もない事業者で初年度の税負担を減らしたい方には効果的となります。
開業届の提出方法
開業届の提出方法は複数あるため、都合の良い方法で対応すると良いでしょう。
税務署に直接または郵送で提出する
所轄の税務署に直接持ち込む場合は、上述の必要書類を持参して、提出します。
郵送の場合は、上述の必要書類をまとめて送付します。
開業届の控えを受領するために、返信用の切手と封筒を同封する必要があります。
税務署の開庁時間
8時30分~17時(土・日曜日・祝日等除く)
所轄の税務署を知りたい方は以下のページから簡単に検索することができます。
e-Taxからオンラインで提出する
e-TAXからオンラインで開業届を提出することができます。
※e-Taxの利用する場合は、利用者識別番号の取得が必要となります。
e-Taxの利用可能時間(メンテナンス日除く)
火曜日~金曜日 24時間利用可(休祝日及び12/29~1/3は除く)
月・土・日・休祝日 8時30分~24時
e-Taxサイト参照。
開業届などを提出した場合は控えを必ず保管する
開業届を提出した場合、開業届の控えを入手し必ず保管しましょう。
開業控えの入手方法
■税務署に直接提出➡その場で受領
■郵送の場合➡封筒で返送される
■e-Taxの場合➡送信した開業届のデータと受信通知を印刷
開業控えは、以下のような場合に提示することがあります。
まとめ
開業時は、開業届以外にも提出すべき書類が多数あるため、事前にポイントを押さえておきましょう。
開業時は届けや手続などの対応に時間を取られてしまう傾向があり、判断を間違うと税制優遇が受けられなかったりするケースもあるため、不安がある方は税理士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。
幣事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。
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