開業届の必要書類・必要なものや提出方法を徹底解説

開業届の手続き マニュアル 開業届の必要書類・必要なものや提出方法を徹底解説

「開業届を提出するために必要な書類は?」

「開業届の手続きはオンライン(e-Tax)でできる?」

個人で事業を始めようとする方は、まず開業届を税務署に提出する必要があり、初めての対応となる方が多いと思います。

当記事では、開業届を提出するために必要な書類やオンラインで手続きを完了させる方法を詳しく解説していきます。

開業届を提出するメリットを知りたい方は、以下の記事もおすすめです。

目次

開業届の提出時に必要なもの

開業届とは、新たに事業を開始したことを税務署に届け出るための書類であり、正式名称は「個人事業の開業・廃業届出書」といいます。

開業届の提出時に必要なもの・準備しておくと良いものは以下の通りです。

開業届(個人事業の開業・廃業届出書)

事業を開始した方は、「個人事業の開業・廃業届出書」を、納税地の所轄税務署へ提出します。国税庁の案内では、提出期限は開業した年分の確定申告期限までとされています。

ただし、青色申告承認申請書の提出期限は「開業日から2か月以内」(1月1日〜15日の開業は3月15日まで)です。屋号付き口座の開設や創業融資の申し込みで開業届の控えを求められることもあるため、開業届は青色申告承認申請書とあわせて、開業後できるだけ早く提出しましょう。

用紙は国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、税務署の窓口で入手できます。

また、パソコンやスマートフォンから「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を利用して作成・提出することもできます。紙で提出する場合の注意点は、「開業届の提出方法」で解説します。

本人確認書類

税務署では、なりすましなどを防ぐために本人確認を行っています。

なお、本人確認書類の必要の有無は開業届の提出方法により異なります。

税務署の窓口に開業届を持ち込む場合

マイナンバーカード、または「番号確認書類(通知カードなど)」+「身元確認書類(運転免許証・パスポートなど)」を持参して、窓口で本人確認を行います。

郵送で開業届を提出する場合

郵送で開業届を提出する場合は、上記書類のコピーを貼り付けて同封します。

「本人確認書類(写)添付台紙」は国税庁HPよりダウンロードして取得することができます。

e-Taxによりオンラインで開業届を提出する場合

e-Taxによりオンラインで開業届を提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付は不要となります。

マイナンバーが把握できるもの

開業届にはマイナンバーの記載が必要です。マイナンバーカードをお持ちでない方は、通知カード(氏名・住所などの記載内容が住民票と一致しているものに限ります)や、マイナンバーの記載がある住民票の写し、住民票記載事項証明書などを準備しましょう。

e-Taxでは、Androidは2025年1月から、iPhoneは2025年9月から、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを利用できます。事前にマイナポータルアプリで設定しておけば、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取らなくても、生体認証などでログインや電子署名ができます。

印鑑(原則不要)

2021年4月から、開業届を含む税務関係書類の多くは押印が不要になりました。

記載内容を訂正する場合も、訂正印は必須ではありません。任意で押印しても差し支えありませんが、押印の有無で書類の効力が変わることはありません。

開業時に必要なその他の書類

事業を開始する際は、開業届とあわせて、次の届出書の提出も検討しましょう。

提出書類提出期限提出先
所得税の青色申告承認申請書開業日が1月1日〜1月15日の場合は3月15日まで、1月16日以後の場合は開業日から2か月以内税務署
青色事業専従者給与に関する届出書同上(開業後に新たに専従者がいることになった場合は、その日から2か月以内)税務署
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書期限なし(申請の翌々月に納付する分から適用)税務署
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書開業した年分の確定申告書の提出期限まで税務署
適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス登録をする場合)    開業した年の12月31日までに、開業した年から登録を受けたい旨を記載して提出すれば、開業日にさかのぼって登録を受けられます税務署
消費税簡易課税制度選択届出書
(インボイス登録をする場合)
開業した年の12月31日まで(開業年から適用) 税務署
事業開始等申告書(個人事業税)都道府県ごとに異なります都道府県税事務所

※従業員に給与を支払う場合、開業届の「給与等の支払の状況」欄に記入して提出すれば、「給与支払事務所等の開設届出書」を別に提出する必要はありません。

※簡易課税制度選択届出書は、インボイス登録をして課税事業者になる方が対象です。2割特例・3割特例を適用した翌年から簡易課税に切り替える場合は、その年の申告期限までに提出すればよい特例もあります。

※事業開始等申告書の様式や期限は、事業所のある都道府県のホームページで確認しましょう。

インボイス発行事業者の登録を検討している方

開業と同時に取引先へインボイスを発行する予定の方は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出を検討しましょう。2029年9月30日を含む課税期間までは、免税事業者の方は登録申請書を提出することで課税事業者になれるため、「消費税課税事業者選択届出書」を出す必要はありません。かえって、選択届出書を出すと、2割特例や3割特例を使えなくなる場合があるため注意が必要です。

インボイス登録をした個人事業主は、開業時期によって次の負担軽減措置を使える場合があります(2026年10月時点)。

  • 2026年中に開業した方
    2026年分は、納税額を売上税額の2割にできる「2割特例」を使えます。2027年分・2028年分は、要件を満たせば納税額を売上税額の3割にできる「3割特例」を使えます。
  • 2027年中に開業した方
    2割特例は使えませんが、要件を満たせば2027年分・2028年分は3割特例を使えます。
  • 2028年中に開業した方
    要件を満たせば、2028年分は3割特例を使えます。
  • 2029年以後に開業した方
    3割特例も終了しているため、一般課税か簡易課税で申告します。

3割特例の主な要件は、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下であることなどです。

国税庁 令和8年度税制改正特集(3割特例)

所得税の青色申告承認申請書

所得税の「青色申告承認申請書」とは、所得税の青色申告の承認を受けようとする場合に提出するものです(国税庁HP参照)。

青色申告承認申請書の提出期限

開業の日が1月1日~1月15日までの場合 ➡ 同年3月15日まで

開業の日が1月16日以降の場合 ➡ 開業の日から2か月以内

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告は白色申告と比べて作成に手間がかかったり、一定の要件を満たす必要がありますが、税制上の優遇(税金が安くなる等の優遇)を受けることができます。

開業届と同時に提出することが多く、青色申告の特典を受けるためにも、提出をおすすめします。

2027年分(2028年に行う確定申告)から、青色申告特別控除の要件が見直されます。

65万円の控除を受けるにはe-Taxでの期限内申告が必須になり、さらに優良な電子帳簿の保存などの要件を満たすと最大75万円の控除を受けられます。複式簿記で記帳していても、紙で申告すると控除額は10万円になります(簡易簿記で記帳している方は、前々年の収入が1,000万円を超えると10万円の控除も受けられなくなります)。

開業当初から、e-Taxに対応した会計ソフトで記帳を始めておくとよいでしょう。

青色申告承認申請書の書き方は以下の記事で解説しております。

青色事業専従者給与に関する届出書

個人事業主が、生計を一にする配偶者やその他の親族に給与を支払っても、原則として必要経費にはなりません。家族の間で所得を分散して、税負担を減らすことを防ぐためです。

「青色事業専従者給与に関する届出書」とは、青色申告をする事業者が、生計を一にする家族に支払う給与を必要経費にするための届出書です。届出書に記載した金額の範囲内で、仕事の内容に見合った金額であれば、必要経費にできます。

主な要件

  • 青色申告をしていること
  • 給与を受ける家族が、その年の12月31日時点で15歳以上であること
  • 原則として、年間6か月を超えてその事業に専ら従事していること

提出期限

開業の日が1月1日~1月15日までの場合 ➡ 同年3月15日まで

開業の日が1月16日以降の場合 ➡ 開業の日から2か月以内

専従者になった家族は、配偶者控除や扶養控除の対象になりません。家族への給与を経費にする場合と、配偶者控除・扶養控除を受ける場合のどちらが有利か、事前に比較しておきましょう。

生計が別の親族に支払う給与は、仕事の対価として適正な金額であれば通常どおり必要経費になります。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

従業員に給与を支払う事業者は、給与から源泉徴収した所得税を、原則として支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。

給与の支払いを受ける人が常時10人未満の場合は、この申請書を提出して承認を受けることで、納付を年2回にまとめることができます。

通常の源泉徴収税の納期・・・支給月の翌月10日までに(毎月対応)

特例の源泉徴収税の納期・・・1月~6月支給分 ➡ 7月10日まで、7月~12月支給分 ➡ 翌年1月20日まで

申請書を提出した月の翌月末日までに税務署から通知がなければ、承認されたものとみなされ、申請の翌々月に納付する分から特例が適用されます。それまでの期間は、毎月の納付が必要です。

なお、納期の特例の対象になるのは、給与や退職金と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から源泉徴収した所得税だけです。デザイン料や原稿料など、外注先に支払う報酬から源泉徴収した所得税は対象外で、毎月の納付が必要です。

※源泉所得税の納付が1日でも遅れてしまった場合は、不納付加算税という罰則金が発生してしまうため、気を付けましょう。

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」とは、開業時に、棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を選ぶための届出書です。

提出期限は、開業した年分の確定申告書の提出期限までです。届出をしない場合は、法律で定められた方法(棚卸資産は最終仕入原価法、減価償却資産は定額法)になります。

一度選んだ方法を後から変更する場合は、この届出書ではなく、「変更承認申請書」を原則として変更したい年の3月15日までに提出する必要があります。

評価方法や償却方法によって、確定申告で納付または還付される所得税の金額に影響があるため、不安な方は顧問税理士に相談することをおすすめします。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産とは、事業者が販売目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称のことであり、簡潔にいえば在庫のことを指します。

特段の届出がない場合は、年末までに販売できなかった在庫の金額を最終仕入原価法で算出して確定申告を実施します。

最終仕入原価法とは、年末に最も近い時期に取得した商品の単価をもって、取得価額を評価する方法となります。

棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法以外にも、個別法、先入先出法や移動平均法などの評価方法があります。

最終仕入原価法以外の評価方法を適用する場合は、所得税の棚卸資産の評価方法の届出書を確定申告の期限日までに税務署へ提出する必要があります。

減価償却資産の償却方法

減価償却資産とは、事業のために用いられる建物、機械装置、備品、車両運搬具などの資産のことで、時の経過等によって、その価値が減っていきます。

減価償却資産の価値が減った分は減価償却費として経費処理しますが、その償却方法は原則として個人事業主は定額法で償却を行います。

この点、機械装置や備品などの一部の減価償却資産は、減価償却資産の償却方法の届出書を確定申告の期限日までに税務署に提出することで定率法で償却することができます。

一般的に、定率法は定額法より、資産を取得した年に多くの金額を経費にできます。ただし、経費にする時期が早まるだけで、耐用年数全体で経費にできる総額は変わりません。創業初年度は所得が少ないことも多いため、どちらが有利かは今後の所得の見込みとあわせて判断しましょう。

なお、青色申告をしている方は、40万円未満の資産であれば、少額減価償却資産の特例で取得した年に全額を経費にできます(年間合計300万円まで、2029年3月31日までに取得した資産が対象)。40万円未満の基準が使えるのは2026年4月1日以後に取得し、事業に使い始めた資産で、2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満が基準です。

開業届の提出方法

開業届の提出方法は、税務署窓口への持ち込み・郵送・e-Tax(オンライン)の3種類がありますが、実務上はe-Taxによるオンライン提出をおすすめします。

税務署に直接または郵送で提出する

所轄の税務署に直接持ち込む場合は、上述の必要書類を持参して、提出します。

郵送の場合は、上述の必要書類をまとめて送付します。

税務署の開庁時間

8時30分〜17時(土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)を除く)

閉庁日でも、郵送や税務署の時間外収受箱への投函で提出できます。e-Taxであれば、メンテナンス時間を除き24時間提出できます。

所轄の税務署を知りたい方は以下のページから簡単に検索することができます。税務署の所在地などを知りたい方|国税庁HP

【重要】紙で提出した場合、控えに収受日付印は押されません

2025年1月から、税務署窓口や郵送で紙の書類を提出しても、控えに収受日付印(受付印)は押されなくなりました。提出するのは正本のみで、控えは自分で写しを取って保管します。

紙で提出した事実と日付を確認したい場合は、当分の間、窓口で希望すると、収受した日付と税務署名を記載したリーフレットを受け取れます。郵送の場合や、後から確認したい場合は、税務署での閲覧サービスや保有個人情報の開示請求などの方法があります。

屋号付き銀行口座の開設、オフィスの賃貸契約、日本政策金融公庫などでの創業融資の申し込みの際には、公的な「開業の証明」を求められる場合があります。提出の記録をすぐに手元に残したい方には、e-Taxでの提出がおすすめです。

提出の記録をすぐに残せる「e-Tax(オンライン提出)」

e-Taxを使ってオンラインで開業届を提出すると、手続き完了後にメッセージボックスへ「受信通知(受付日時や受付番号が記載されたデータ)」が届きます。

この「送信した開業届のデータ」+「受信通知」をPDF保管(または印刷)しておけば、提出の事実を示す資料として使えます。さらに正式な証明が必要な場合は、受信通知から「電子申請等証明書」の交付を請求することもできます。

ただし、どの書類を受け付けるかは金融機関などによって異なるため、事前に確認しておきましょう。

e-Taxの利用可能時間

メンテナンス時間を除き、24時間利用できます。メンテナンスの日時は、e-Taxホームページの「利用可能時間カレンダー」で事前に確認しましょう。

開業届などを提出した場合は控えを必ず保管する

開業届を提出したら、紙の場合は写しを、e-Taxの場合は送信データと受信通知を、必ず保管しましょう。次のような場面で、提出の確認を求められることがあります。

・屋号付き銀行口座の開設
・オフィスの賃貸契約
・日本政策金融公庫などの創業融資の申し込み
・事業用クレジットカード(ビジネスカード)の申し込み
・その他、事業者であることの証明を求められたとき


提出の記録をすぐに手元に残したい方には、e-Taxでの提出がおすすめです。

まとめ

開業時は、開業届のほかにも、青色申告承認申請書や、必要に応じて青色事業専従者給与に関する届出書、インボイスの登録申請書など、提出を検討すべき書類があります。期限を過ぎると、その年は青色申告の特典を受けられないなど、税金の負担に影響することもあります。

提出の記録をすぐに残せるe-Taxを活用しながら、期限を確認して準備を進めましょう。

どの届出が必要か迷う場合は、税理士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。

弊事務所においても、個人事業主・フリーランスや法人化などの開業全般サポートに力を入れておりますので、疑問点や不安がある方は初回無料の相談窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

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